とある総合診療医のノート

地方病院勤務総合診療医の日々の勉強・学びのアウトプット

代謝・内分泌

ステロイド治療の基本 まずはここから

はじめに ステロイドは臨床において最も使用される薬剤の一つであり、その重要性は輸液・抗菌薬選択に次ぐと筆者は考えている。そこでこんかいはステロイド治療における基本事項をまとめる。 ステロイドは大きく分けて3つの役割を有しており、それは抗炎症…

内分泌疾患でのステロイドの使い方

甲状腺クリーゼ 症例1 30歳女性。上腹部痛・下痢・発熱を主訴に来院。意識障害なし。甲状腺はびまん性に腫大し頻脈140(不整)・振戦も認めた。血液検査ではTSH<0.01,Free T4>7.77,Free T3 27.5,TSH受容体抗体陽性であり、バセドウ病による甲状腺クリ…

シックデイについて これだけ

はじめに 糖尿病や副腎機能低下などを並存疾患にもつ患者は珍しくない。特に糖尿病患者は珍しくないが糖尿病治療薬は低血糖の副作用があり、シックデイ教育は非常に重要と言える。今回はシックデイについて解説する。 シックデイとは 糖尿病の治療中に発熱、…

インスリン製剤の違い 

はじめに インスリン製剤にはその効果の発現時間、持続時間からいくつか種類があり、速効型、超速効型、中間型、持効型インスリンなどと分けられる。今回はこれらの違いに関して解説する。 ・速効型、超速効型インスリン・・・インスリン追加分泌を補充 ・中…

糖尿病治療薬(内服)について

はじめに 経口血糖降下薬の種類は非常に多岐に渡る。一昔前にはSU剤が主流となっていたが、現在は複数の薬から内服薬を選択しなければならず、今回は内服薬の作用機序と使い分けについて解説する。 ■ 経口血糖降下薬の適応 糖尿病治療はまず食事療法・運動療…

糖尿病の目標血糖値

糖尿病患者の目標血糖値 http://www.jds.or.jp/common/fckeditor/editor/filemanager/connectors/php/transfer.php?file=/uid000025_474C323031332D30322E706466を参考に。 ・良好な血糖コントロールは長期予後を改善する。 ・細小血管症(腎症、網膜症、神…

強化インスリン療法について

はじめに ◯強化インスリン療法とは 強化インスリン療法とは頻回のインスリン注射によって血糖変動を健常者に近づける方法。健常者の生理的なインスリン分泌は基礎分泌と追加分泌からなるが、強化インスリン療法では速効型インスリンと持効型インスリンを併用…

混合型インスリン製剤の使い方

はじめに 混合型インスリン製剤とは 糖尿病患者において経口血糖降下薬を何種類か併用しても血糖コントロールが難しい場合は生理的なインスリン分泌が低下していると考えられ、インスリン療法の適応となる。本来であれば基礎分泌と追加分泌を両方補うことの…

副腎クリーゼについての知識

はじめに 副腎クリーゼとは副腎機能が低下することにより鉱質コルチコイド、糖質コルチコイドが欠乏し、ショックに至る病態である。 【症状】 嘔吐、腹痛、発熱、、倦怠感、関節痛、食欲不振、意識障害などなど…。多様かつ非特異的な症状が見られる。これら…

高Ca血症への対応 これだけ

◯高カルシウム血症の評価、疫学 ・低アルブミン血症の場合は補正を行う。Ca補正値=Ca+(4-Alb) ・補正は必須であるが誤差が出るので正確な評価のためには血ガスによってイオン化Caの測定をする。イオン化Caの基準値は1-1.4a mmol/Lであるが大体8倍をしたら…

高尿酸血症への対応

はじめに 尿酸値は検診でも検査されることも多く、一般的な血液検査の一項目である。これが高い状態が続くと痛風を発症したり、尿酸結石を起こしたり痛い疾患が待っている。しかし、痛風がない場合の高尿酸血症の治療適応は限定的であり今回はどのような際に…

高K血症への対応 これだけ

はじめに 高カリウム血症をみたらどうするか?電解質異常の中でも特に不整脈の原因となったりするK異常はしっかりとした補正が必要。高K血症では迅速な対応が必要であるのに対して低KでもCVの挿入を検討したりその初動は患者さんの生命予後を左右するだろう…

DKA/HHSの初期対応

血糖異常高値への初期対応 救急外来に来た患者の採血で血糖が異常に高かった場合(300以上)、初期対応はどうするべきか。異常高血糖をきたす病態として重要なものとしては糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)と高浸透圧高血糖症候群(HHS)がある。 ◯DKAとH…

SIADHについて まとめ

●SIADHとは SIADH(抗利尿ホルモン不適合分泌症候群)とは名前の通り抗利尿ホルモンであるバソプレシンが血漿浸透圧に対して不適切に分泌されることにより水分過剰貯留となってしまう症候群である。希釈性低ナトリウム血症を呈する。 原因は非常に多く覚えら…

低血糖発作への対応 まずはこれだけ

はじめに 内科当直をしているとかなり頻繁に遭遇する低血糖発作。多くは薬剤性の低血糖が多いが今回は低血糖発作の症状、原因、対応に関してまとめる。 低血糖患者は意識障害や痙攣患者の迅速血糖測定をして低血糖が見つかるというのは救急でよくある。血糖…

糖尿病でのインスリン開始のタイミング

インスリン療法の適応と導入について 糖尿病患者において、食事療法・運動療法をして血糖コントロールが不十分であれば経口血糖降下薬を開始し、それでも血糖がなかなか下がらない場合はインスリン導入となる。 (以下治療の一般的なフローチャート) 糖尿病…

甲状腺機能低下症に対する対応 まとめ

はじめに ホルモン異常はそれほど日常診療で出くわす場面は少ないと思われるが、その中で比較的頻度の多いものが甲状腺ホルモン異常である。今回はその中でも甲状腺機能低下症についての対応をまとめる。 ◯血液検査【甲状腺ホルモン系の解釈】 ・甲状腺ホル…