とある総合診療医のノート

地方病院勤務総合診療医の日々の勉強・学びのアウトプット

同効薬

便秘薬の使い分けについて

はじめに 便秘薬には刺激性下剤としてセンノシドを中心としたアントラキノン系薬剤とビサコジルやピコスルファートナトリウムなどのジフェノール系の2種類があり、非刺激性下剤には浸透圧性下剤(酸化マグネシウム、ラクツロース、ポリエチレングリコール)…

腎機能低下患者に対する薬物投与で気をつけるべき薬剤まとめ

はじめに 多くの薬剤はその副作用に腎機能低下の記載があり、さらには腎機能低下患者に対してはその投与量も調整しなければならない薬剤が数多く存在する。今回はそのような薬剤のうち代表的なものをまとめて、解説していく。 1 鎮痛薬 NSAIDs COXを阻害す…

抗凝固薬の使い分けについて学ぶ

ポイント ・抗凝固薬の適応疾患 ・心房細動に対する使い分け ・中等度以上のMSや人工弁置換術後の抗凝固薬はワルファリンを はじめに 抗凝固薬の適応疾患は大きく分けると心房細動の血栓塞栓症の一次または二次予防、血栓塞栓症(DVT、PE)の一次予防、治療…

外用抗菌薬について

抗菌外用薬について 合剤:クロラムフェニコール+フラジオマイシン硫酸塩+プレドニゾロン=クロマイーP SSI予防としては一般的に使わない じゃあいつ使う?→表在性感染症(伝染性膿痂疹、、、ぐらい?) 褥瘡に対してはそれぞれに使い分けられている ゲーベ…

保湿剤まとめ

保湿剤は下表3種類のみ それぞれの特徴は? ワセリン:油脂性基剤を主とした保湿剤。油なので加湿効果は見込めない。保護(バリア機能)するだけと考えるので比較的潤っている入浴後に使用すると効果的。バリア機能がある反面ベタつきが多いのが難点。落と…

オピオイド(医療用麻薬)についてまとめ 等換算表

オピオイドについて オピオイド(医療用麻薬)は末期患者(特にがん性疼痛がコントロールできない)に対してQOLを改善する目的で使用される。患者によってはこのような緩和医療に拒否反応を示す人も一定するおり導入には十分な説明が必要である。今回はオピ…

オピオイドスイッチについて

初めてオピオイドスイッチするときはどうすれば良いのか? オピオイドスイッチとは? →なんらかの理由で現行使用しているオピオイドが継続困難になった場合に別の種類のオピオイドに変更すること。オピオイドは投与方法の違いや呼吸抑制などの副作用から種類…

湿布(シップ)についてまとめてみた

湿布(シップ)についてまとめてみた 入院患者でも外来患者でもよく湿布が欲しいという訴えの人は多い。しかしその一方湿布についての勉強はほとんどと言ってもいいほどしてこなかったのではないか? そこで今回は病棟で処方する機会が多いNSAIDs外用薬につい…

アルツハイマー型認知症の薬物療法についてまとめてみた

Ⅰヶ月のおよその薬価 アリセプト(後発品)2070円 レミニール10069円 リバスタッチ11622円 メマリー12051円 効果の割に結構な高い、、、 剤形はかなりあるためリバスタッチの使用用途はあまりない。OD剤でも内服困難、内服薬で副作用が許容できない場合かつ…

同効薬の使い分け 循環器編

はじめに 循環器領域では急性期・慢性期共に病態に応じた薬剤選択が患者の転機改善に寄与する。近年高齢化により慢性腎臓病や動脈硬化疾患が並存する患者が多くここに応じた使い分けが必要である。また内服は長期間に必要となる場合が多くアドヒアランスの問…

降圧薬の使い分けについてまとめてみた

同効薬の使い方 降圧薬について はじめに ・日本において高血圧有病者数は2010年時点で4300万人と言われている。 ・高血圧は脳卒中、心筋梗塞といった心血管疾患のリスクであることは明らか。 ・まずは運動、食事療法だがそれでも改善ない場合は内服加療…

気管支拡張薬の使い分け

はじめに ・気管支拡張薬はβ2刺激薬、抗コリン薬、キサンチン誘導体の3系統 ・気管支喘息やCOPDに対して気管支を拡張する目的に使用される ・効果と副作用の観点から内服よりも吸入薬が推奨されており適切な吸入器デバイスを選択すべし β2刺激薬 ・β2刺…

ステロイドの副作用・予防

はじめに ステロイドは非常に多種多様な副作用があり、副作用は必発といっても過言ではない。そこでステロイド投与中の患者には副作用を予防する治療が必要となってくる。そこで副作用の出現時期などを理解することは必要不可欠である。 副作用の出現時期 開…

呼吸器 同効薬の使い分け 総論

ポイント ・鎮咳薬と喀痰調整薬は対症療法であり、咳嗽と喀痰に対する治療の大前提は症状の背景にある疾患に対する治療である ・喀痰は機動分泌が亢進している病態の存在を示唆するため湿性咳嗽の対症療法は喀痰調整薬であり、原則として鎮咳薬を投与しない…

吸入ステロイド これだけは知っておきたい知識

はじめに ・吸入ステロイド薬は気管支喘息やACO患者では治療の基本となる薬剤である。ICSをどう使い分けるか、どの吸入器具を選択するかも大事である。そのため治療奏功を期待するにはアドヒアランスの問題をクリアすることが必要条件となる。つまり喘息治療…

鎮咳薬・喀痰調整薬の使い分け

鎮咳薬・喀痰調整薬とは? あくまで症状改善薬であり病気自体の治療薬ではない。 例えば、細菌性肺炎などにより膿性痰があれば抗菌薬で治療すべきだし、気管支喘息やCOPDであれば慢性呼吸器疾患として特異的な治療を行うべきである。鎮咳薬・喀痰調整はその…

胃粘膜保護薬についてはこれだけ PPI、P-CAB、H2ブロッカーなどのまとめ

はじめに ・胃粘膜保護薬の開発は消化性潰瘍の治療とともに進んできた。消化性潰瘍治療の歴史の中で最初に大きなブレイクスルーがあったのはH2受容体拮抗薬(histamine H2-receptor antagonist:H2RA)の開発であった。これにより消化性潰瘍の外科手術の頻度…

整腸薬と止痢薬の使い分け

整腸薬 整腸薬は生菌製剤と耐性乳酸菌製剤の2種類がある。これら製剤の添付文書における効能・効果は生菌製剤は「腸内細菌叢の異常による諸症状の改善」、耐性乳酸菌製剤は「抗生物質、化学療法剤投与時の腸内細菌叢の異常による諸症状の改善」とされている…

ステロイド治療の基本 まずはここから

はじめに ステロイドは臨床において最も使用される薬剤の一つであり、その重要性は輸液・抗菌薬選択に次ぐと筆者は考えている。そこでこんかいはステロイド治療における基本事項をまとめる。 ステロイドは大きく分けて3つの役割を有しており、それは抗炎症…

内分泌疾患でのステロイドの使い方

甲状腺クリーゼ 症例1 30歳女性。上腹部痛・下痢・発熱を主訴に来院。意識障害なし。甲状腺はびまん性に腫大し頻脈140(不整)・振戦も認めた。血液検査ではTSH<0.01,Free T4>7.77,Free T3 27.5,TSH受容体抗体陽性であり、バセドウ病による甲状腺クリ…

骨粗鬆症の治療薬まとめ

はじめに 日本は超高齢化社会であり、高齢化に伴い骨粗鬆症患者は増加の一途をたどっている。現在骨粗鬆症と言われる人は約1300万人と推計されている。骨粗鬆症の問題は脆弱性骨折が増加し、椎体骨折や大腿骨頸部骨折などからQOLの低下、寝たきり、ひいては…

ステロイドカバーについてまとめてみた

はじめに 1 ステロイド使用者の周術期・急性ストレス期にステロイドカバーが必要な理由は? →内因性のステロイド分泌が抑制されているため 2 ストレス時急性腎不全ではどのような症状、検査所見があるか? →低血糖・ショック、意識障害、電解質異常(低ナ…

術前ヘパリン置換(ヘパリン化)の知識(内科医でも最低限知っておくべき内容)

ヘパリン置換とは何か 脳梗塞既往や心房細動などの患者は血液が固まって血栓症を起こしてしまうリスクが有る。そこで血液が固まらないように抗血小板薬や抗凝固薬などいわゆる血液をサラサラにする薬を服用していることが多い。 抗血小板薬や抗凝固薬を服用…

SBT/ABPCよりCTRXが優れる点(BLNARを考える)

SBT/ABPCよりCTRXが優れる点 はじめに SBT/ABPC(スルバシリン/アンピシリンスルバクタム)は基本的にはCTRX(ロセフィン/セフトリアキソン)よりカバーする細菌は多い。嫌気性菌にも効くのがSBT/ABPC(スルバシリン/アンピシリンスルバクタム)である。しかし…

メトホルミン製剤で乳酸アシドーシスになるメカニズム

はじめに ビグアナイド薬(一般名:メトホルミン、ブホルミン)で乳酸アシドーシスになる理由を解説する ■ビグアナイドの作用機序 ビグアナイドはAMPキナーゼ(AMPK)を活性化させる作用があり、AMPKが肝臓での糖新生の抑制を抑制している。つまり、ビグアナ…

インスリン製剤の違い 

はじめに インスリン製剤にはその効果の発現時間、持続時間からいくつか種類があり、速効型、超速効型、中間型、持効型インスリンなどと分けられる。今回はこれらの違いに関して解説する。 ・速効型、超速効型インスリン・・・インスリン追加分泌を補充 ・中…

糖尿病治療薬(内服)について

はじめに 経口血糖降下薬の種類は非常に多岐に渡る。一昔前にはSU剤が主流となっていたが、現在は複数の薬から内服薬を選択しなければならず、今回は内服薬の作用機序と使い分けについて解説する。 ■ 経口血糖降下薬の適応 糖尿病治療はまず食事療法・運動療…

混合型インスリン製剤の使い方

はじめに 混合型インスリン製剤とは 糖尿病患者において経口血糖降下薬を何種類か併用しても血糖コントロールが難しい場合は生理的なインスリン分泌が低下していると考えられ、インスリン療法の適応となる。本来であれば基礎分泌と追加分泌を両方補うことの…

鎮咳薬は本当に意味があるのか

はじめに 咳嗽を主訴に来院する患者は数多く、その受診動機は大きく2つに別れる。一つはは咳嗽が出ていることが何らか怖い病気ではないかと心配し原因検索をメインに希望する。もう一つは咳嗽が出ていることを何とか止めてほしい(社会的背景もあり)今回は…

慢性心不全に対するACE阻害とβブロッカーの優先度

はじめに ACE阻害薬に後でβブロッカーを追加で処方されることが多いが、βブロッカーをファーストラインの治療薬として選択するのが有益かどうかはわかっていなかった。 EF35%以下のHFrEF患者で比較した(CIBIS) III試験ではACE阻害薬とβブロッカーのどちらを…