とある総合診療医のノート

地方病院勤務総合診療医の日々の勉強・学びのアウトプット

循環器

慢性心不全のステージと治療について

心不全のマネジメント 慢性期治療は4つのステージ(A,B,C,D)で考える ステージA(心不全リスク+、器質的心疾患ー、心不全症状ー) ・リスク因子は高血圧、脂質異常症、肥満、糖尿病、動脈硬化疾患、喫煙など、また心筋症の家族歴もリスク因子になる。 ・…

抗凝固薬の使い分けについて学ぶ

ポイント ・抗凝固薬の適応疾患 ・心房細動に対する使い分け ・中等度以上のMSや人工弁置換術後の抗凝固薬はワルファリンを はじめに 抗凝固薬の適応疾患は大きく分けると心房細動の血栓塞栓症の一次または二次予防、血栓塞栓症(DVT、PE)の一次予防、治療…

同効薬の使い分け 循環器編

はじめに 循環器領域では急性期・慢性期共に病態に応じた薬剤選択が患者の転機改善に寄与する。近年高齢化により慢性腎臓病や動脈硬化疾患が並存する患者が多くここに応じた使い分けが必要である。また内服は長期間に必要となる場合が多くアドヒアランスの問…

降圧薬の使い分けについてまとめてみた

同効薬の使い方 降圧薬について はじめに ・日本において高血圧有病者数は2010年時点で4300万人と言われている。 ・高血圧は脳卒中、心筋梗塞といった心血管疾患のリスクであることは明らか。 ・まずは運動、食事療法だがそれでも改善ない場合は内服加療…

失神(syncope)の対応について

はじめに 当直をしていると救急車収容依頼で少なからず経験する失神患者。今回は失神について定義や疾患別の頻度、対応方法などについてまとめることとする。 定義 脳の全体的な血流低下による急性発症で、短時間の自然に完全回復する一過性の意識消失。 一…

二次性高血圧のスクリーニング まずはこれだけ

はじめに 高血圧は多くの高齢者で見られる他、動脈硬化の要因となり多くの生活習慣病への悪影響を与える。 多くは一次性で降圧薬でコントロールするものだが、中には二次性高血圧もあり、治療法など最終的には手術療法の適応となる疾患もでてくる。 二次性高…

心エコーの壁菲薄化・輝度上昇について

⭕心筋梗塞後の特徴的な心エコー所見 ・局所的壁運動の異常 ・収縮期の壁厚増加の減少または消失(通常は拡張期よりも収縮期の方が壁厚が増加する所見が得られる)。 ・心筋の局所的な菲薄化 ⭕菲薄化について 心筋の局所的な菲薄化は虚血性心疾患を示唆する。虚…

電気ショックについて留意すべき点

はじめに 電気ショックが必要な場面は日常臨床でそれほど多くはないが、いざという時には施行しなければ命に関わる場面もあり内科医師、当直医として電気ショックに関する知識をまとめる。 ✅電気ショック成功へのファクター ・エネルギー量は電圧と電流の組…

心不全に対するフロセミドの腎機能への影響

はじめに 急性非代償性心不全患者における利尿剤使用の戦略。ループ利尿薬は持続投与でもショットでもどちらでも良い(治療に関しても副作用に関しても変わらない)。高用量だと腎機能は短期的にみえると悪くなりやすい。しかし2ヶ月後には戻ってる。 https…

慢性心不全に対するACE阻害とβブロッカーの優先度

はじめに ACE阻害薬に後でβブロッカーを追加で処方されることが多いが、βブロッカーをファーストラインの治療薬として選択するのが有益かどうかはわかっていなかった。 EF35%以下のHFrEF患者で比較した(CIBIS) III試験ではACE阻害薬とβブロッカーのどちらを…

失神患者に対して行う心エコーの意味

はじめに 失神患者はよく循環器内科にコンサルトする場面がある。循環器的には心エコー、ホルター心電図などで失神を起こしうる病変の有無を精査する 失神患者の心エコーでどこを観察するか 心原性失神の評価目的に心エコーをする時に注目するところ ・局所…

心不全におけるTRPGの解釈

はじめに 心不全患者の新エコーで四腔断面で測定することができるTRPG。今回はTRPGの解釈方法についてまとめる 心不全におけるTRPG値の解釈 まずTRPG(transtricuspid pressure gradient)=三尖弁圧較差のこと。TRPGはドップラーエコーで三尖弁逆流の血流速…