とある総合診療医のノート

地方病院勤務総合診療医の日々の勉強・学びのアウトプット

東洋医学・漢方

胃もたれに対する漢方薬処方

良い適応となる状態 機能性胃腸症、特に食後愁訴症候群が漢方治療の良い適応となる代表的な疾患である。 処方前に押さえておくべきこと ・臨床上、機能性消化管障害においてはオーバーラップを認めることが多いとされる。 ・食後愁訴症候群と心窩部痛症候群…

風邪診療について  発熱+消化器症状

はじめに 発熱に加えて消化器症状つまり下痢を伴っていればそれが細菌性かウイルス性かはたまた炎症性腸疾患などによるものかなど鑑別は様々あるが頻度の高いものとしては圧倒的に感染性胃腸炎ということになるだろう。 感染性胃腸炎について話をまとめる。 …

易疲労・倦怠感に対する漢方薬処方

良い適応となる状態 重篤な器質的疾患のない時、外科手術後、悪性腫瘍で抗がん剤治療や放射線療法を行なっている時、および慢性閉塞性肺疾患、軽うつ状態、機能性胃腸症などに付随して易疲労・倦怠感を訴える時 処方前に押さえておくべきこと ・肉体的疲労は…

漢方処方ベスト20選 処方ランキング20を一気に列挙

漢方薬の種類は非常に多岐にわたり種類だけでも100種類を超える。 また1種類の漢方でも複数の症候に効果があり、その適応は厳密には決定されておらず効きそうな人に処方するという曖昧な適応となっているのが現状ではないだろうか。 今回はその非常に多…

食欲不振に対する漢方薬処方

良い適応となる状態 食欲不振は多くの疾患で見られるが、原疾患が軽快しても消失しない場合や原疾患が不明または治療困難な場合も適応になる。 処方前に押さえておくべきこと ・食欲不振は消化器症状として単独で見られるよりも、多くは胃もたれ、悪心、胸焼…

漢方薬を処方する上で知っておきたいこと②

学ぶべき内容 ・陰証、陽証について ・虚、実について ・気、血、水についての考え方 ・五臓とは? ・四診について(望・聞・問・切) ・陰証、陽証について 病気の中には温めると症状が改善したり悪化したりするものがある。 漢方医学では個々の生薬に「温…

漢方薬を処方する上で知っておきたいこと

はじめに ・効果が期待できる病態のほか、生薬・処方レベルでの副作用についても知っておく。 ・急性症の治療では診断が適切であれば数十日運のオーダーで効果を実感できる。 ・慢性症でも2〜4週間以内に効果が見られることが多く、4週間で効果が出ない場…

発汗・寝汗に対する漢方薬処方

良い適応となる状態 体力低下が顕著で明らかな原疾患がなく、寝汗や発汗のある場合。 高齢者や体力低下した者が急性上気道炎などの急性発熱性感染症に罹患し解熱後に寝汗が続く場合。 処方前に押さえておくべきこと ・発汗異常の原因となる疾患を十分検索し…

浮腫に対する漢方薬処方

良い適応となる状態 原因が特定できない非特異的な場合や西洋医学的治療による効果が得られない場合、あるいは副作用のために西洋薬の服用継続が困難な例に考える。 口渇・多飲の割に尿量が少ないのが典型的な症候。頭痛、めまい、悪心、嘔吐、下痢などを伴…

うつ症状に対する漢方薬処方

良い適応となる状態 うつ病(大うつ病性障害)や双極性障害(躁鬱病)などの精神疾患によらないいわゆる病的ではないうつ症状は良い適応 処方前に押さえておくべきこと ・病的なうつ症状を認めるうつ病や双極性障害などの精神疾患は抗うつ薬や気分安定薬、非…

めまいに対する漢方薬処方

良い適応となる状態 心因性めまい、メニエール病や良性発作性頭位めまい症などの内因性めまい、起立整調整障害、更年期障害に伴うめまいが良い適応 処方前に押さえておくべきこと ・めまいという症状だけに注目するのではなく、背景にある生活リズムの変化、…

めまいに対する漢方薬処方

良い適応となる状態 心因性めまい、メニエール病や良性発作性頭位めまい症などの内因性めまい、起立整調整障害、更年期障害に伴うめまいが良い適応 処方前に押さえておくべきこと ・めまいという症状だけに注目するのではなく、背景にある生活リズムの変化、…

悪心・嘔吐に対する漢方薬処方

良い適応となる状態 急性および慢性胃炎、感染性胃腸炎、機能性胃腸症、二日酔いなど 処方前に押さえておくべきこと ・心下振水音、胸脇苦満などの腹証を把握することが鑑別に必要 ・悪心・嘔吐のほかの随伴症状を問診で把握することも大切 ・胃がんや胃潰瘍…

筋痙攣・筋肉痛に対する漢方薬処方

良い適応となる状態 筋痙攣全般、中でも腓腹筋痙攣(こむら返り)は良い適応。筋肉痛全般、特に筋肉疲労など原疾患の明らかでないものは漢方治療の良い適応 処方前に押さえておくべきこと ・筋痙攣・筋肉痛ではまず症状発作時の急性期の治療があり、即効性の…

胸焼けに対する漢方薬処方

良い適応となる状態 胃食道逆流症GERDのうち特に非びらん性胃食道逆流症が良い適応である。 処方前に押さえておくべきこと ・胃食道逆流症GERDは内視鏡所見陽性で症状がみられる逆流性食道炎と所見がないのに症状が見られる非びらん性胃食道逆流症NERDに分類…

肩こりに対する漢方薬処方

良い適応となる状態 一般的な肩こりから頸肩腕症候群まで漢方は幅広く適応できる。 処方前に押さえておくべきこと ・長時間のスマートフォン操作やパソコン作業での悪い姿勢、椅子と机のアンバランスなどが背景にある場合も多いので改善をすすめる。悪い姿勢…

更年期障害(冷え・のぼせ)に対する漢方薬処方

良い適応となる状態 更年期障害には漢方薬は良い適応となる。血の道症の一つ。 処方前に押さえておくべきこと ・加味逍遙散の処方に呈している患者さんは問診票に山のように症状を列記している人が多い。(不定愁訴) ・処方後に便通がつけば効果あり、下痢…

頭痛に対する漢方薬処方

良い適応となる状態 漢方治療は偏頭痛や緊張型頭痛などの一次性頭痛に良い適応がある。薬物乱用頭痛対策にも有効である。 処方前に押さえておくべきこと ・頭痛は大きく分けて一次性と二次性がある。 ・一次性頭痛とは頭痛そのものを呈する疾患であり、偏頭…

鼻水・鼻づまりに対する漢方薬処方

良い適応となる状態 アレルギー性鼻炎は通年性・季節性を問わず良い適応となる代表的な疾患である。 処方前に押さえておくべきこと ・アレルギー性鼻炎には麻黄剤がとても有効ではあるが、麻黄はエフェドリン、プソイドエフェドリンを主成分とするため注意が…

頻尿・排尿困難に対する漢方薬処方

良い適応となる状態 加齢に伴う下部尿路疾患、特に過活動膀胱や前立腺肥大症の初期病期と慢性膀胱炎が良い適応 処方前に押さえておくべきこと ・下部尿路症状には頻尿や排尿困難の他に尿意切迫感・尿失禁・残尿感・排尿痛などがあり重複が多く見られる。 ・…

腹痛・腹部膨満感に対する漢方薬処方

良い適応となる状態 上腹部では胃炎・消化性潰瘍・機能性ディスペプシアなどが適応。下腹部では過敏性腸症候群や瘀血による腹痛、寒冷刺激による腹痛などである。腹部膨満の代表疾患であるイレウスは現代医学的治療に漢方薬を併用すると効果的で、開腹術後も…

便秘・下痢に対する漢方薬処方

良い適応となる状態 悪性腫瘍などの器質的疾患のない常習便秘や下痢の場合は過敏性腸症候群が漢方治療の良い適応となる。 処方前に押さえておくべきこと ・便秘の場合:通常の下剤で腹痛やひどい下痢になる症例(虚証)には大黄を含む方材の処方には注意。使…

痺れに対する漢方薬処方

良い適応となる状態 いわゆる神経痛に対して漢方薬は良い適応であるが、現代医学が対応困難な痺れにも適応できる。 処方前に押さえておくべきこと ・器質的疾患を除外し現代医学で診断できるものはきちんと診断しておく。 ・例えば手根管症候群、肘部管症候…