とある総合診療医のノート

地方病院勤務総合診療医の日々の勉強・学びのアウトプット

豆知識

術前ヘパリン置換(ヘパリン化)の知識(内科医でも最低限知っておくべき内容)

ヘパリン置換とは何か 脳梗塞既往や心房細動などの患者は血液が固まって血栓症を起こしてしまうリスクが有る。そこで血液が固まらないように抗血小板薬や抗凝固薬などいわゆる血液をサラサラにする薬を服用していることが多い。 抗血小板薬や抗凝固薬を服用…

メトホルミン製剤で乳酸アシドーシスになるメカニズム

はじめに ビグアナイド薬(一般名:メトホルミン、ブホルミン)で乳酸アシドーシスになる理由を解説する ■ビグアナイドの作用機序 ビグアナイドはAMPキナーゼ(AMPK)を活性化させる作用があり、AMPKが肝臓での糖新生の抑制を抑制している。つまり、ビグアナ…

アニオンギャップとは 知らないでは恥ずかしい

アニオンギャップの計算とその意義 ◎アニオンギャップの式の導出 アニオンとは陰イオンのこと。ギャップとは差のこと。アニオンギャップとは陽イオンと陰イオンの差という意味で用いられる。 体内において陽イオンと陰イオンのそれぞれの合計は一緒。 陽イオ…

喘息診断に用いられる呼気NO試験とは

◯呼気NO試験とは? 呼気一酸化窒素濃度(FeNO)試験は近年普及している検査。 喘息患者の呼気にはNOが健常人に比べて多く含まれることがわかってきた。 気道に慢性的な炎症が起こると気道粘膜でNO産生酵素が増えるため吐いた息に多く含まれるようになる。呼気…

心エコーの壁菲薄化・輝度上昇について

⭕心筋梗塞後の特徴的な心エコー所見 ・局所的壁運動の異常 ・収縮期の壁厚増加の減少または消失(通常は拡張期よりも収縮期の方が壁厚が増加する所見が得られる)。 ・心筋の局所的な菲薄化 ⭕菲薄化について 心筋の局所的な菲薄化は虚血性心疾患を示唆する。虚…

電気ショックについて留意すべき点

はじめに 電気ショックが必要な場面は日常臨床でそれほど多くはないが、いざという時には施行しなければ命に関わる場面もあり内科医師、当直医として電気ショックに関する知識をまとめる。 ✅電気ショック成功へのファクター ・エネルギー量は電圧と電流の組…

PBCとPSCの違い 今さら聞けない常識

はじめに PBCとPSCは名前が紛らわしいので今回整理して覚えることとする。 PBC=primary biliary cirrhosis=原発性胆汁性肝硬変=原発性胆汁性胆管炎 PSC=primary sclerosing cholangitis=原発性硬化性胆管炎 PBCは慢性の肝内胆汁うっ滞をきたす疾患。肝内胆…

胃全摘後には胆石症を起こしやすいのはなぜか?

はじめに 胃全摘後には胆石症を起こしやすいとされている。なので胃全摘術と共に予防的胆嚢摘出を行う施設もある。今回は胃全摘後に胆石症を起こしやすくなる理由と予防的胆嚢摘出についてどのようなコンセンサスがあるのかを解説していく。 胃全摘後に胆嚢…

しぶり腹について 知らないと恥ずかしい医学用語

はじめに しぶり腹(テネスムス)とは頻回に腹痛と便意を催すものの、排便しても少量しか出ない状態。 原因となる疾患としては潰瘍性大腸炎、アメーバ赤痢、偽膜性大腸炎、大腸ガンなど。 いずれにしても下部大腸、特に直腸に病変が及んでいる疾患で生じやす…