女性の急性腹症 最初の一歩
はじめに
女性の急性腹症・下腹部痛に不安や苦手意識を抱いている内科医師は多い一方で診療しなければならない場面は珍しくない。ただ一般内科医としては内科的疾患を除外するだけでなく産婦人科疾患でどのようなものを鑑別に考えるかはコンサルトする上でも大切である。
産婦人科的な急性腹症
上グラフのように産婦人科で遭遇すう急性腹症は上位4疾患で96%を占めている。
そのため上位4疾患の鑑別、検査を行うことができれば多くの女性の急性腹症をカバーできると言っても過言ではない。
妊娠の診断
まずは「女性を見たら妊娠を疑え」!!
「妊娠の可能性はありますか?」と質問するのではなく、月経歴(最終正常月経開始日)と性交渉歴(避妊方法含めて)を聴取すべきである。ただし!!!本人が月経と思っていても不正出血であったなど確実ではないことは覚えておこう。
最低限 月経歴、性交渉歴、出産歴を聴取
妊娠反応は妊娠4〜5週で陽性化(基本的に感度・特異度100%であるが、子宮外妊娠の偽陰性率2〜3%との報告もあり、例外はあることは認識すべきである)
産婦人科疾患の腹痛の範囲
卵巣・子宮の痛みはTh10以下から生じる(関連痛の関係で)
腹腔内に出血(卵巣出血、子宮外妊娠破裂など)があれば肩の痛みまで生じることもある
女性の急性腹症診断フローチャート
①妊娠反応をとる(陽性であれば子宮外妊娠の可能性 陰性であれば②へ)
②経腹エコーを行う
→腹腔内エコーフリースペース+ 卵巣出血
→腹腔内エコーフリースペースー 嚢胞もしくは腫瘤性病変+ 卵巣茎捻転(解剖学的に異常のない卵巣茎捻転は症例報告レベルで少ない)
→解剖学的に何もなさそう 帯下の異常+ 骨盤炎症性疾患
- 骨盤炎症性疾患
リスク因子:PID既往(性感染症の既往)、複数の性的パートナー、コンドームなしの性行為、子宮内避妊器具
- 卵巣出血
エピソード:性交渉時の痛み、月経周期の後半に出現