とある総合診療医のノート

地方病院勤務総合診療医の日々の勉強・学びのアウトプット

急性膵炎でcolon cut-off sign、sentinel loop signが見られる機序

はじめに

急性膵炎は救急で来院される代表的な急性腹症の一つであると言える。今回は急性膵炎でcolon cut off sign /sentinel loop signが見られる機序について説明する。

急性膵炎でcolon cut-off sign、sentinel loop signが見られる機序

急性膵炎では膵臓に隣接する横行結腸を狭窄させて限局性の麻痺性イレウスを引き起こしうる。膵臓に近い横行結腸の右半分が攣縮を起こしてしまうので、横行結腸の右半分にガスがたまって見え、逆にガスの行かない左半分〜脾彎曲部は小さくなって見える。レントゲン上、あたかも横行結腸が切られてしまったような印象であることからcolon cut off signと呼ばれている。

また、炎症が小腸間膜まで及ぶと左上腹部の空調にガスがたまってあたかも膵臓を見張っているかのように拡張する。それ故sentinel loop signという(sentinel=見張り)。

colon cut off sign とsentinel loop signではcolon cut off signの方が重症。大腸壁に炎症が及んでいて、それに伴うbacterial translocationを示唆している。

ちなみにcolon cut off signの診断特性は低く、臨床的には滅多に見られない。急性膵炎100症例中1例も認められなかったとの報告もある(by内科診断リファレンス)。