とある総合診療医のノート

地方病院勤務総合診療医の日々の勉強・学びのアウトプット

感染症へのステロイド治療

はじめに

感染症にステロイド?一昔前では免疫を抑えるステロイド感染症に用いることは普通ではなかったが今となっては様々に使用されている。しかしエビデンスはそれほど確立しておらず唯一あるのは細菌性髄膜炎に対してと敗血症性ショックに対してのみである。

2008年の大規模RCTの結果はステロイドの有効性はなく統計的有意差は無いものの新規感染症の発症率がステロイドによって上昇することも示された。しかし敗血症性ショックからの離脱は3.3日対5.8日とステロイド群で早かったことでステロイド自体に昇圧効果がありステロイドは敗血症性ショックで輸液と昇圧薬にも反応しない症例に限定されるというのが現在のガイドラインの立ち位置である。

細菌性髄膜炎重篤な中枢神経感染症で敗血症性ショック・DIC・ARDSなど全身の合併症のほか意識障害・頭蓋内圧亢進・脳浮腫・痙攣・麻痺・聴力障害など神経合併症を起こす。いくつもの研究が世界各地で行われているが現状は肺炎球菌性の髄膜炎に限定してデキサメタゾン治療を行うことが先進国で推奨されている。

細菌性髄膜炎への処方例

→抗菌薬投与15〜20分前にデキサメタゾン0.15mg/kgを6時間ごとに静注。4日間投与。ただし肺炎球菌以外の起炎菌もしくは細菌性髄膜炎以外の診断となった場合は中止する。