とある総合診療医のノート

地方病院勤務総合診療医の日々の勉強・学びのアウトプット

痺れに対する漢方薬処方

  • 良い適応となる状態

いわゆる神経痛に対して漢方薬は良い適応であるが、現代医学が対応困難な痺れにも適応できる。

処方前に押さえておくべきこと

・器質的疾患を除外し現代医学で診断できるものはきちんと診断しておく。

・例えば手根管症候群、肘部管症候群などの絞扼性末梢神経障害はその神経支配に従った典型的な症候を示す。

・運動麻痺では感覚障害を伴わず片方上肢の脱力で始まる筋萎縮性側索硬化症の可能性がある。

第一選択薬:

坐骨神経痛による下肢の痛み・痺れ:疎経活血湯

・加齢に伴う下肢の痺れ・筋力低下:八味地黄丸・牛車腎気丸

・上肢の痺れ・胃腸虚弱者・発汗傾向:桂枝加苓朮附湯

第一選択薬が効かない時やそのほかの特徴的な症候を示している場合には?

→しもやけ等の末梢循環不全による痺れ:当帰四逆加呉茱萸生姜湯

→臍傍圧痛・経過の長い者:桂枝茯苓丸

→地黄で胃もたれするもの、めまい、下痢、冷え症:真武湯

→痺れや痛みでイライラや不安感が強いもの:抑肝散

→多愁訴で症状が変遷するもの:加味逍遙散

→皮膚がムズムズして蟻走感を訴えるもの:桂枝加黄耆湯

→顔面の痛み(三叉神経痛):五苓散