とある総合診療医のノート

地方病院勤務総合診療医の日々の勉強・学びのアウトプット

頭痛に対する漢方薬処方

  • 良い適応となる状態

漢方治療は偏頭痛や緊張型頭痛などの一次性頭痛に良い適応がある。薬物乱用頭痛対策にも有効である。

処方前に押さえておくべきこと

・頭痛は大きく分けて一次性と二次性がある。

・一次性頭痛とは頭痛そのものを呈する疾患であり、偏頭痛や緊張型頭痛などの慢性頭痛が含まれる。漢方は主にこのような一次性頭痛に適応がある。

・二次性頭痛でも脳血管障害の慢性期に出現する頭痛や高血圧の治療後に残存する頭痛などには漢方薬が奏功する場合がある。

第一選択薬

・慢性頭痛で冷え性の場合は呉茱萸

冷え性ではない場合は五苓散

第一選択薬が効かない時やそのほかの特徴的な症候を示している場合には?

→第一選択が無効の場合には呉茱萸湯と五苓散を相互に入れ替えてみたり、併用したりして効果判定を行う。

第一選択がいずれも無効の場合、あるいは特徴的症候がある場合は

→雨天で悪化・水毒所見がある・冷え性でない:五苓散

→雨天で悪化・水毒所見がある・胃腸虚弱・冷え性:半夏白朮天麻湯

→天候の変わり目に悪化・抑うつ気分がある:香蘇散

月経と関連 瘀血所見がある

→月経と関連して悪化・むくみやすい・冷え性:当帰芍薬

→月経と関連して悪化・のぼせやすい:桂枝茯苓丸

肩や首のコリがある

→肩こり・肋骨弓下のはり・腹直筋の緊張:柴胡桂枝湯

→首のコリ・胃腸虚弱なし:葛根湯

→首のコリ・胃腸虚弱あり:桂枝加葛根湯

→肩甲骨部のコリ・イライラ:抑肝散

高血圧傾向

→のぼせ・赤ら顔・イライラ・体力があり胃腸は丈夫:黄連解毒湯

→中高年世代の朝の頭重感・耳鳴り・脳血管障害の既往:釣藤散