- 良い適応となる状態
筋痙攣全般、中でも腓腹筋痙攣(こむら返り)は良い適応。筋肉痛全般、特に筋肉疲労など原疾患の明らかでないものは漢方治療の良い適応
処方前に押さえておくべきこと
・筋痙攣・筋肉痛ではまず症状発作時の急性期の治療があり、即効性のある処方が用いられる。
・症状が一過性でない場合、筋痙攣を繰り返すような症例、筋肉痛が慢性化したような症例では筋痙攣の予防や筋肉痛の緩和を目標に治療を行う。
・そのような場合でも症状発現時や増悪時には急性期に有効な処方を併用することも行われる。
第一選択薬:
・急性期にはまず芍薬甘草湯
・冷えが顕著なものでは芍薬甘草附子湯
・筋痙攣を繰り返すような症例、筋肉痛が慢性化したような症例では麻杏薏甘湯
第一選択薬が効かない時やそのほかの特徴的な症候を示している場合には?
体力なし・腹力弱い
→汗かき・むくみ・水太り:防已黄耆湯
→冷え・寒さで悪化・湿気で悪化:桂枝加苓朮附湯
→胃腸が弱い・上半身がほてり・下半身が冷える:五積散
→冷え・血行障害・瘀血・腹直筋の緊張:当帰四逆加呉茱萸生姜湯
→倦怠感・筋萎縮・顔色不良・冷え・貧血:大防風湯
体力中等度ないしそれ以上
→局所の腫脹や熱感・皮膚の乾燥:薏苡仁湯
→血行障害(瘀血)・夜間に悪化:疎経活血湯
→局所の腫脹や熱感・暑がり・汗かき・口渇・むくみ:越婢加朮湯
→高齢者・下半身の脱力・夜間尿・小腹不仁:牛車腎気丸
→神経過敏・イライラ・腹直筋の緊張・腹部大動脈の拍動亢進:抑肝散
- 筋痙攣・筋肉痛とは?なぜ起こる?
・筋痙攣は突然起こる短時間の痛みを伴う筋肉の収縮である。電解質異常や筋肉疲労、脱水などで生じる。
・特にこむら返りは激しい運動後など筋肉の使い過ぎからよく起こる。就寝中に起こる頻度も高く、高齢者を悩ませる要因の一つ。
・筋肉痛は筋肉の使いすぎ、ストレス、過緊張によるものと、感冒、インフルエンザなどの感染症、多発性筋炎などの膠原病、筋ジストロフィー、リウマチ性多発筋痛症、線維筋痛症など様々ある。
- 漢方医学の考え方
・金緊張の緩和、血行動態の改善、浮腫の軽減(利水剤)などにより局所の状態を改善することで症状の軽減を促す。