- 良い適応となる状態
心因性めまい、メニエール病や良性発作性頭位めまい症などの内因性めまい、起立整調整障害、更年期障害に伴うめまいが良い適応
処方前に押さえておくべきこと
・めまいという症状だけに注目するのではなく、背景にある生活リズムの変化、ストレスの有無などを聞く。
・めまいに伴う症状はめまいの原因であったり、めまいを悪化させる要因のことがある。これらの症状を改善させることは漢方薬の得意とするところであり、これによりめまいが良くなる可能性がある。
・最も遭遇するめまいは良性発作性頭位めまい症である。頭の位置を変えることで三半規管の中に脱落した耳石が移動しめまいが生じる。漢方薬は西洋薬と同様に病悩期間を短縮することはないと思われるが、臨床症状の改善は期待される。
・漢方薬のみに頼るのではなく、睡眠障害の改善、運動をするなど日常生活を整えることが大切。特に良性発作性頭位めまいでは頭位治療、メニエール病では有酸素運動を併用することで効果が高まる。
第一選択薬:
動悸・不安→苓桂朮甘湯
食欲不振・頭重感→半夏白朮天麻湯
第一選択薬が効かない時やそのほかの特徴的な症候を示している場合には?
体力がある人
→不眠・動悸・神経過敏:柴胡加竜骨牡蛎湯
体力中等度の人
→頭痛・高血圧・目の充血:釣藤散
→神経過敏・不眠:抑肝散
→抑うつ傾向・不眠・めまいの不安感:半夏厚朴湯
虚弱な人
→うつ傾向・イライラしている:抑肝散加陳皮半夏
→四肢の冷え・下痢:真武湯
→全身倦怠感・食欲不振:補中益気湯
体力に関係なし
→むくみ・頭痛・尿量減少:五苓散
更年期障害・性周期に関係しためまい
→冷え・貧血傾向:当帰芍薬散
→肩こり・下腹部の圧痛:桂枝茯苓丸
→不安・不眠・イライラしている:加味逍遙散
→顔色が悪い・皮膚乾燥傾向:四物湯
加齢変化によるふらつき
→夜間尿・下半身のしびれ感を伴う・ほてり:六味丸
→夜間尿・下半身のしびれ感を伴う・四肢の冷え:八味地黄丸
→夜間尿・下半身のしびれ感を伴う・浮腫:牛車腎気丸
- 漢方医学の考え方
・気・血が脳に適切に行き渡らないとめまいが起こると考えられている。
・水毒では気・血の流れが阻害されていると考えるため利水剤をよく用いる。
・気が不足している(気虚)や血が不足している場合は(血虚)はそれぞれを補うような漢方薬を用いる。補中益気湯、四物湯など
・瘀血の場合は血の停滞を除くとして桂枝茯苓丸・当帰芍薬散などを用いる。