- 良い適応となる状態
うつ病(大うつ病性障害)や双極性障害(躁鬱病)などの精神疾患によらないいわゆる病的ではないうつ症状は良い適応
処方前に押さえておくべきこと
・病的なうつ症状を認めるうつ病や双極性障害などの精神疾患は抗うつ薬や気分安定薬、非定型精神病薬などの現代医学できちんと治療しないと重症化したり自殺に至ったりする恐れがあるため漢方薬のみで治療するのは大変危険な場合がある。
・漢方薬で治療する前に現在のうつ症状がうつ病や双極性障害などの精神疾患によるものではない病的ではないうつ症状であることを精神科の専門医に診断してもらう必要がある。
・精神科の専門医による診断の結果、病的ではないうつ症状であることがわかれば漢方治療の適応になる。
第一選択薬:
・漫然とした不安感や喉の異物感などの気鬱を伴ううつ症状には半夏厚朴湯
・熟眠障害、貧血傾向、易疲労感などを伴ううつ症状には加味帰脾湯
・イライラ感、不眠傾向、手足の震えなどを伴ううつ症状には抑肝散
第一選択薬が効かない時やそのほかの特徴的な症候を示している場合には?
体力なし・腹力弱い
→食欲不振、漫然とした不安感や喉の異物感などの気鬱を伴う:香蘇散
→食欲不振・易疲労感・全身倦怠感などの気虚を伴う:補中益気湯
→イライラ感・不眠傾向・手足の震えなどが慢性化している・腹部動悸:抑肝散加陳皮半夏
→イライラ感・月経周期に関連して様々な症状が出る:加味逍遙散
→脳血管障害(脳梗塞や脳内出血)の後のうつ症状:釣藤散
→季肋部の抵抗・苦満感あり・腹直筋緊張・体力中等度ないしそれ以下:柴胡桂枝湯
→季肋部の抵抗・苦満感あり・体力なし・腹力弱い・腹部動悸:柴胡桂枝乾姜湯
体力中等度ないしそれ以上
→みぞおちの抵抗・苦満感が強い・のぼせ:黄連解毒湯
→イライラ感・のぼせ・月経周期に関連して様々な症状がでる:女神散
→季肋部の抵抗・苦満感あり・腹直筋緊張・体力中等度ないしそれ以上:四逆散
→季肋部の抵抗・苦満感あり・体力中等度ないしそれ以上・腹部動悸:柴胡加竜骨牡蛎湯
→季肋部の抵抗・苦満感あり・体力中等度・気鬱:柴朴湯