とある総合診療医のノート

地方病院勤務総合診療医の日々の勉強・学びのアウトプット

慢性心不全に対するACE阻害とβブロッカーの優先度

はじめに

ACE阻害薬に後でβブロッカーを追加で処方されることが多いが、βブロッカーをファーストラインの治療薬として選択するのが有益かどうかはわかっていなかった。

EF35%以下のHFrEF患者で比較した(CIBIS) III試験ではACE阻害薬とβブロッカーのどちらを先行させて導入しても予後に差がないことが示されている。心不全が不安定な状態(体液貯留or心不全徴候)であればβブロッカーの導入は禁忌になるので先にACE阻害薬を導入することになる。一方で、心不全が安定していればβブロッカーであれACEであれ好きな方を先行して導入して良いことになる。(ガイドライン的には過度の血圧低下がなければエナラプリル5~10mmg/日が推奨)

エナラプリルに関して言えばNYHA II~IIIの慢性心不全では死亡率を16%、NYHAⅣの慢性心不全では死亡率を40%減少させることがいくつかの大規模臨床試験で明らかになっている。