とある総合診療医のノート

地方病院勤務総合診療医の日々の勉強・学びのアウトプット

気管支喘息発作への初期対応まとめ これで救急対応はばっちり②

はじめに

喘息発作への初期対応

喘息の重症度には発作時と安定期の2種類ある。救急外来などで対応することになる発作時について説明する。

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↑引用:http://ryumachi.umin.jp/clinical_case/BA.html

◯ステップ1:軽度発作、苦しいが横になれる、日常動作ほぼ普通。SpO2は96%以上の場合

短時間作用型β2刺激薬(メプチンなど)をpMDIで1−2吸入

ブデソニド/ホルモテロール(シムビコート®)を2吸入追加

自宅治療可能

◯ステップ2:中等度発作、苦しくて横になれない、動作かなり困難、SpO2は91〜95%以上、PaO2は60以上、PaCO2は45未満の場合

・短時間作用型β2刺激薬(メプチン)をネブライザーで投与(メプチン0.2ml,ブロムヘキシン2ml、生理食塩水10mlなど)、20〜30分あけて3回まで投与。

・酸素吸入(SpO2 95%前後を目標)

・全身ステロイド点滴(ソル・メドロール40mg〜125mgなど)

ネブライザーステロイドのみでは無理そうであればアミノフィリン点滴も考慮

・抗コリン薬吸入(アトロベント®などを1,2吸入。β2刺激吸入と相加効果がある)

・アドレナリン皮下注もしくは筋注

2−4時間で反応不十分もしくは1〜2時間程度対応しても症状改善なければ入院。ステップ3に

◯ステップ3:高度発作、苦しくて動けない、歩行不能・会話困難、SpO2 90%以下、PAO2 60%以下、PCO2 45以上の場合

基本やることはステップ2と同じ。ただし、1時間以内に反応なければ入院適応となる(ステップ2の中等度発作に比べたら入院ハードルは低い)

・短時間作用型β2刺激薬(メプチン)をネブライザーで投与(メプチン0.2ml,ブロムヘキシン2ml、生理食塩水10mlなど)、20〜30分あけて3回まで投与。

・酸素吸入(SpO2 95%前後を目標)

・全身ステロイド点滴(ソル・メドロール40mg〜125mgなど)

ネブライザーステロイドのみでは無理そうであればアミノフィリン点滴も考慮

・抗コリン薬吸入(アトロベント®などを1,2吸入。β2刺激吸入と相加効果がある)

・アドレナリン皮下注もしくは筋注

◯ステップ4:重篤発作、会話不能・胎動不能、SpO2 90%以下、PaO2 60以下、PCO2 45以上の場合

・ステップ3の治療を継続

・高濃度酸素投与でもPaO2 50以下、意識障害を伴うPaCO2の上昇があれば気管挿管・人工呼吸管理考慮

薬剤それぞれの使い方

  • ◯短時間作用型β刺激薬(=メプチン、もしくはベネトリン)

反復吸入20分開けて3回まで。

ベータ刺激薬なので頻脈になることがある。おおむね心拍数130回/分を超えないようにする

  • ◯ブデソニド/ホルモテロール追加吸入(SMART療法)

ブデソニド/ホルモテロール:シムビコート®を2吸入追加を行う

注意:NSAIDs喘息の可能性がありそうな場合はコハク酸エステル型ステロイド(メチルプレドニゾロン、ハイドロコルチゾン、注射用プレドニゾロン)の使用は避けるべきである。

・NSAIDs喘息でない場合

→メチルプレドニゾロン(ソル・メドロールR)注射40〜125mg

あるいは

ハイドロコルチゾン(ソル・コーテフ®)200〜500mg/生理食塩水100mlを30〜60分かけて投与

  • ◯アドレナリン皮下注・筋注

β刺激薬と同様に脈拍130以下を保つように投与する。

アドレナリン(ボスミン®)0.1〜0.3ml皮下注または筋注し必要に応じて20〜30分毎に反復する。

  • ◯アミノフィリン点滴

ネオフィリン®注250mg/等張電解質200mlを60分かけて点滴静注。

1日600mg以上のテオフィリン内服薬が投与されている場合にはアミノフィリンは半量もしくはそれ以下に減量する。

  • ◯短時間作用型コリン薬吸入追加

短時間作用型β2刺激薬(メプチン、ベネトリンなど)との相加効果をもたらす。

アトロベント®エアロゾルやテルシガン®エロゾル100μgを1−2パフ吸入する。