とある総合診療医のノート

地方病院勤務総合診療医の日々の勉強・学びのアウトプット

血液培養陽性の時、その結果は信じられるか

はじめに

現在では発熱に対して血液培養を2セット採取することは至極一般的になっている。これは感染症診療に日々尽力している医療者の成果の賜物とも言えるが、その分血液培養でのコンタミは患者だけでなく我々にも悪影響となる。今回はどんな場合はコンタミを疑いやすく、どんな場合はより敗血症・菌血症を疑うのかまとめてみる。

血液培養でいつコンタミを疑うか

血液培養は菌血症を疑うときに必要な検査であるが、いくら慎重に採取してもコンタミを0にすることはできないので注意が必要である。が、血液培養で生えてきた菌が本当に血中にいるものなのかコンタミによるものなのか鑑別するポイントが有る。

  • 菌血症(血中由来)を考える所見

・血液培養2セットとも陽性

・培養が陽性になるまで1−2日(30時間以内に培養陽性になれば原因菌の可能性が高いとの報告もある)→しかしそうでない場合もある。。。

・検出される菌が皮膚常在菌でないような場合(血液培養から検出されたら本物の可能性が高い菌の順番:カンジダなどの真菌、抗酸菌、グラム陰性菌黄色ブドウ球菌、肺炎球菌、β溶連菌、緑色レンサ球菌、腸球菌)「中外医学社:抗菌薬の使い方、考え方参考

・血液培養1セット陽性でもう1セットは陰性

・培養が陽性になるまで3−5日かかる(微量の菌がコンタミしていたら増えるのに当然時間がかかる)

・皮膚の常在菌が検出される場合(コアグラーゼ陰性ブドウ球菌、バシラス、プロピオニルバクテリウムなど)

・もともとの感染巣と異なる菌が検出されている場合

(例えば肺炎で喀痰培養からは肺炎球菌が出ていても血液培養からは黄色ブドウ球菌がでているなど)