不明熱の検査 (網羅的 すべてやるわけではない)
はじめに
不明熱とは日常診療でも出くわす場面があるが古典的不明熱という定義がある。今回は不明熱に出くわした時にどのような検査が候補として考えるべきか上げていく。しかしこれらの検査は想定すべき疾患がある上で行うべきであり、患者背景も考慮して必要な検査を行う必要があり、それでも診断に至らなかった場合は一般的に不明熱は予後良好であると言われていることは知っておいたほうが良いだろう。
- ■古典的不明熱の定義
「三週間以上38.3度以上の発熱が続き、3日以上診療(3回以上の外来か3日以上の入院)しても原因がわからないもの」が不明熱と定義される。原因としては感染症、悪性腫瘍、自己免疫疾患が多い。
- 3大原因
感染症:感染性心内膜炎、結核、前立腺炎、腹腔内膿瘍、肛門周囲膿瘍、前立腺炎、伝染性単核球症、腸チフスなど
- ■不明熱診断のための検査
・問診
(通常の問診に加えて性交歴、動物との接触歴、職業歴、職業歴などを十分に問診)
・身体所見
(見逃されやすいもの)
相対的徐脈、心雑音、表在リンパ節の腫脹、直腸診での圧痛、甲状腺の圧痛、眼底病変、肝叩打痛など
・一般採血、尿検査、胸部レントゲン
(尿検査では)
(血液検査では)
好中球増加、核の左方移動で細菌感染
リンパ球増加でウィルス感染
貧血と白血球の異常は白血病などの血液疾患
フェリチン→成人Still病、血球貪食症候群を示唆
赤沈→側頭動脈炎、リウマチ性多発動脈炎を示唆
(胸部レントゲン)
心疾患、肺疾患のスクリーニング
・細菌培養
感染症疑うなら痰培養、尿培養、血液培養、便培養
(抗菌薬投与中であれば一旦中止し、再度培養の取り直し)
・末梢血スメア
血液腫瘍やマラリアの鑑別
・造影CT(胸部、腹部、骨盤)
膿瘍は単純CTではわからない
・腹部エコー
肝膿瘍などを診断可能
・心エコー
感染性心内膜炎の診断に。経食道のほうが感度は高い
・抗核抗体
自己免疫疾患の鑑別に。C3,C4、RF、血沈
・肝生検
肝脾腫やALP高値の場合に考慮。不明熱に対してはかなり有用な検査
・FDG-PET
局所性炎症性疾患の除外、血管炎の診断に有用。が、費用が高いのが問題