とある総合診療医のノート

地方病院勤務総合診療医の日々の勉強・学びのアウトプット

各種ワクチンの特徴とポイント(小児科)

麻疹・風疹(MR)ワクチン

麻疹ワクチンの副反応としては、発熱がもっとも多いものです。20-30%くらいの頻度で、接種後5~14日くらいにみられる。熱性けいれんの体質の方は事前に相談する。注意が必要。発疹(10~20%)も出ることがありますが、いずれも通常1~3日で回復します。まれには接種直後から、注射部位の発赤、腫れ、蕁麻疹などの症状がみられることがあります。症状が3日以上続く場合は、小児科へ受診を。

風疹ワクチンの副反応は、ほとんどない。成人女性に接種した場合、1~2週間後に関節炎がみられることがあるが、数日~1週間ぐらいで治癒します。成人女性の場合、接種後3か月は、妊娠しないよう注意して下さい。いずれも95%以上の方に免疫がつきますが、次第に低下するので、生涯に2回接種することが勧められている。

  • 麻疹

眼の結膜充血、涙やめやに(眼脂)が多くなります。くしゃみ、鼻汁などの症状と共に発熱し、口内の頬粘膜にコプリック斑という特徴的な白い斑点が見られます。

熱がいったん下がりかけ、再び高熱が出てきた時に赤い発しんが生じて発しん期になります。発しんは耳の後ろから顔面にかけて出始め、身体全体に広がります。赤い発しんが消えた後に褐色の色素沈着が残るのが特徴です。

発熱は発しん出現後3~4日持続し、通常7~9日の経過で回復しますが、重症な経過をとることもあり、急性脳炎は発症1,000人に1~2人の頻度で生じ、脳炎や肺炎を合併すると生命の危険や後遺症の恐れもあります。

麻しんは年齢にかかわらず重症になることがあります。特に妊娠中にかかると流産や早産を起こす可能性があります。

  • 風疹

発熱と同時に発しんに気付く疾患です。発熱は麻しんほど顕著ではありませんが、バラ色の発しんが全身に出現します。3~5日で消えて治るため三日はしかとも呼ばれます。

発しんが消えた後には麻しんのような褐色の色素沈着は残りません。

リンパ節の腫れは頚部、耳の後ろの部分にみられ、圧痛を伴います。

発熱は一般に軽度で、気付かないこともあります。

妊婦の感染により、胎児が、耳、眼、心臓の異常や精神運動発達遅滞を伴う先天性風疹症候群を発症することがあります。

四種混合ワクチン(DPT-ポリオ)

次の予防接種は、DPT以外であれば1週間以上あければ受けることが可能であるが、DPTどうしは3~8週間の間隔が必要。4回目は3回目の1年後です。

副反応と有効性

DPTの副反応としては、注射部位の腫れが最も多く、初回接種1回目では、約20%その後接種回数を増すと40~50%に赤くなる、腫れる、しこりができるなどの局所反応が見られます。局所反応は、数日で治まります。冷たいタオルなどで冷やすといいでしょう。まれに、肘を越えて腕全体が腫れる事があります。その時は、受診してください。

発熱は、接種当日か、翌日に見られることがありますが、頻度はせいぜい1%以下で、すぐに下がります。2日以上続く時は、風邪引きなどの他の病気が考えられますので受診して下さい。有効率はとても高いのですが、成人期の抗体低下で百日咳にかかる人が増えてきており、成人での追加の必要性が検討されています。

日本脳炎ワクチン

次の予防接種は、日本脳炎ワクチン以外のものなら、一週間以上あければ受けることが可能。日本脳炎1期初回の場合は次の日本脳炎まで1-4週間の間隔が必要。

副反応と有効性

日本脳炎ワクチンの副反応として、発熱は接種後2日以内に1%以下の頻度でみられます。注射部位の発赤、腫れ、および痛みなどがまれに見られることがあるが、心配はいらない。症状が2日以上続く場合は医療機関受診を。

水痘(みずぼうそう)ワクチン

副反応と有効性

水痘ワクチンの副反応は、ほとんどない。まれには接種14~30日後くらいに発熱、水痘様発疹がみられることがある。水痘ワクチンは、麻疹や風疹など他のワクチンに比べて有効率がやや低いので(70-80%くらい)、“ワクチン接種はしたけれどもかかってしまった”ということが時々ある。その場合でも、ほとんどは跡形も目立たないほど症状が軽くてすむ。

流行期にワクチンをすると、ワクチンの効果が出る前にかかってしまうことがあります。

自然感染した場合、軽く済めばよいのですが、脳炎など思わぬ後遺症に苦しめられることがある。

おたふく風邪ワクチン

副反応と有効性

おたふく風邪ワクチンの副反応としては、接種後7~21日に軽い耳下腺の腫れや痛み、発熱などが約2~3%で出現することがある。まれに、髄膜炎症状を起こすことがあります。高熱、頭痛、吐き気などの症状がみられた場合は連絡を。効果は90%以上です。流行期にワクチンをすると、ワクチンの効果が出る前にかかってしまうことがある。自然感染した場合、軽く済めばよいのですが、難聴など思わぬ後遺症に苦しめられることがある。難聴を予防するという意味でも摂取が進められている。

ヒブワクチン

ヒブワクチンの副反応は、ほとんどありません。注射部位の発赤、腫れなどと共にまれに(1%以下)発熱がみられることがある。ヒブワクチンは乳幼児の重症感染症髄膜炎、敗血症)を予防する。効果が高く導入前と比べて重症感染症の発生率は10分の1以下になった。生後2か月から接種を。肺炎球菌ワクチンや4種混合ワクチンと同時接種も可能。

肺炎球菌ワクチン

肺炎球菌ワクチンの副反応としては、急性アレルギー以外は重篤なものはない。ヒブワクチン(以下Hib)と同様です。注射部位の発赤や腫れや発熱はHibより少し多いようです。発熱は接種当日~翌日に見られる。効果はHibと同様にきわめて高く、重症感染症髄膜炎、敗血症)が激減した。Hib、4種混合ワクチンと同時に接種可能。

BCG

1歳までに済ませましょう。お勧めは5~8ヶ月です。

BCGの副反応でよくあるものは、接種部位の発赤、腫れ、湿潤、痂皮(かさぶた)など。自然に治まりますが、3ヶ月くらいかかることもあります。接種1~2日後に発赤や腫れが出た時はすぐに診せる。重大なものとしては、上記のアナフィラキシー、全身性BCG感染、骨炎などがありますが、まれなもの。有効率は70~80%くらいです。かかっても髄膜炎などの重症化は抑えられます。

B型肝炎ワクチン

副反応としては、注射局所の腫れが主なもので、上記の急性アレルギー反応を除けば重大なものはない。

発熱は接種当日~翌日に見られることがある。半年の間に計3回受けます。

まれに免疫の獲得が十分でなく4回目の追加が必要なことがある。

子供のよだれ、汗などからも感染すると言われ子供全員に定期接種となった。