とある総合診療医のノート

地方病院勤務総合診療医の日々の勉強・学びのアウトプット

不機嫌:not doing well(なんとなく元気がない)場合 小児科診療

Must rule out

よくある頻度の高い状態・病気

  • 中耳炎
  • 便秘症
  • 皮膚炎などのかゆみを生じるもの
  • Infantile colic
  • 原因不明の非特異的な不機嫌
  • 注意を引くためのなき

Not doing well のカテゴリー

カテゴリー①:強い泣き系・泣き止まない。大きな泣き。

 力が強く泣けているということで一見すると元気そうに見える。痛みによる泣きで緊急のものもあれば全く緊急でないものも含まれる。

カテゴリー②:食欲・意欲低下・食欲がない。経口摂取が少ない。顔色が悪い。

 なんとなく元気がないというのがぴったりの最も難しい状態。最重症であるショック状態から呼吸不全、軽い吐き気まで非常に鑑別が多い。食事を取らない場合は続けて2食以上食べない場合は原因検索。

カテゴリー③;弱い泣き・泣き方がおかしい。弱々しい。甲高い

 強く泣けない状況である。1つは頭蓋内圧亢進や腹膜刺激症状があり、圧をかけると痛みが悪化する場合。もう一つは呼吸器系に問題があり換気量が十分でない。

カテゴリー④:意識障害系・ぐったりしている。視線が合わない。歩けない。

 意識状態の悪化を疑わせる症状である。はっきりとした意識障害はないが明らかにいつもと違う状態である。この状態はカテゴリー②の重症かと考えることもできるが神経疾患の初期症状の場合もあり重症疾患が多い。

Not doing wellの分類

病歴から身体所見まで

バイタルサイン、TICLS(tone, interactiveness, consolability,look / gaze,speech/cry),PALS(play, activity, look, speech/smile)で異常を認める場合は速やかに診断と治療をスタートさせる。

  • 現病歴

Review of systemsをするつもりで頭からつま先まで詳細に病歴を取る。特に「突然発症」「徐々に増悪」などの発症様式に注意する。

  • 既往歴

慢性疾患を持っていないか、免疫不全状態でないか(発熱や他かの症状が出にくい状態ではないか)

  • 身体所見

頭〜オムツの中、つま先まで観察する。

重症感染症のリスク評価スコア Yale Observation Scale

10点以下では2.7%

15点では26.2%

16点以上では92.3%

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おまけ

ターニケット(tourniquet)症候群

身体の先端部に髪の毛や糸クズが巻き付くことによって起こる循環不全症候群である。 足趾、外陰部、手指の順に多いとされる。 症状は末端の浮腫と発赤である。

好発年齢:足・手指は 2 歳くらいまで、母親の産後脱毛症が起こる乳児期に注意が必要である。外陰部は小学生ぐらいまでありうるが乳児にも起こる。 治療:巻き付いた髪の毛を切ること

「おむつの中つま先まで疑って診ないと診断できない」。

infantile colic

生後3週間以降4カ月未満の乳児において毎日ほぼ決まった時間(昼と夜)に長時間続けて泣くが、それ以外はまったく異常を認めない状態。原因はよくわかっていない。除外診断である。4 カ月以上で colic と診断するときは十分注意が必要である。