はじめに
・風邪という誤審が最も起こしやすいパターンが局所臓器症状不明瞭型の特徴である。
・命に関わる敗血症がこのパターンに含まれるため注意が必要。
・何らかの敗血症の初期かもしれないという認識で診療にあたる。
局所臓器症状不明瞭・高熱のみ型の定義
- 急な発熱を主訴に来院した患者
- 感染のフォーカスを示す局所臓器症状(咳・鼻水・咽頭痛・腹痛・下痢など)をはっきりと認めない
- 気分不良・嘔気・筋肉痛・関節痛・軽い頭痛は局所臓器症状と考えないで熱に伴うものと考える
見逃してはいけない敗血症の高熱を拾い上げるために
・悪寒戦慄が最も大事!
- Shaking chill(悪寒戦慄):体が震えて止まらない(止めようと思っても止まらない)
- Chill(悪寒):毛布を何枚かかぶりたくなる(止めようとすると止まる)
- Chilly sensation(寒気):セーターを羽織りたくなる
止めようと思っても止まらない悪寒戦慄は敗血症として本気で診療にあたる
- :感度45 特異度90.3
- :感度75 特異度72.2
- :感度87.5 特異度51.6
止めようと思っても止まらない悪寒戦慄がある→9割の確率で敗血症
「患者さんがshakingしていたらまずは主治医がshakingしなさい!」
初期に局所臓器所見がはっきりとしにくい細菌感染症
- 急性腎盂腎炎
- 急性前立腺炎
- 肝膿瘍
- 化膿性胆管炎
- 感染性心内膜炎
- カテーテル関連血流感染症(catheter―related blood stream infection :CRBSI)
- 蜂窩織炎
- カンピロバクター腸炎の初期
- 歯髄炎
- 肛門周囲膿瘍
- その他:髄膜炎菌敗血症、サルモネラ、レプトスピラ、レジオネラ、ブルセラ
まとめ
・局所臓器所見がはっきりとしない発熱を診ているという視点をもつ
・このカテゴリーに含まれる疾患の感染臓器をしっかり、病歴、身体所見で確認する。