伝染性単核球症についてまとめてみた
はじめに
外来でよく出会うこの疾患、mononucleosis-like symptoms(伝染性単核球症の臨床像)は発熱、全身倦怠感、頸部リンパ節腫張(特に後頸部リンパ節などの全身性リンパ節)、肝脾腫などがあり、これらがあれば疑う。
ポイント
・毛布のような白苔が扁桃に付着している
・通常のウイルス性咽頭炎と思われたが後頸部リンパ節もちょっと触れる。
・身体所見で脾腫を認める咽頭炎。
・3日以上たっても軽快しない場合。
・抗菌薬フルコース投与でも改善しないと紹介になった
・ペニシリン投与で全身にびまん性紅斑を来たした場合(90〜100%出現と言われていたが最近の研究では18〜30%と言われている)
ちなみにkissing diseaseという異名を持つが、この病歴を取れることは稀でありわざわざ聞きにくい質問をする意義はなさそう。
血清学的診断について
伝染性単核球症の原因はEBウイルス、サイトメガロウイルスが上位2つである。多くはこれで決着がつくため最低限の検査と言われた場合にはVCA(viral capsid antigen)-IgMとCMV-IgMを提出する。しかしEBウイルスの場合初期にはVCA-IgM(+)とならないこともあり、VCA-IgMとEBNA(Epstein-Barr nuclear antigen)も提出することが勧められている。
しかしEBVの場合初期にはVCA-IgM(+)とならないことがあり、VCA-IgGとEBNAも提出することが勧められる。VCA-IgM(―)でもVCA-IgG(+)、EBNA陰性となることもあり、この場合は初期ゆえにVCA-IgM(―)となっていると考える場合があり、再提出すると(+)と返ってくることがある。EBNA(+)はかならず既に感染していたと言える。
EBV/CMVで診断がつかなかった場合
上記の診断がつかなかった場合は積極的に次のステップに進み以下のような疾患を考慮する。
【鑑別】
・HIV-Primary HIV infection:感染後2〜6週間
・二期梅毒
・A型肝炎:潜伏期は4週間ぐらい
・トキソプラズマ症
【検査】
・HIV→HIV RNA PCR(第4世代のHIV−1、2抗体であれば感染成立後2週間程度で+となることが多く、外注PCRの前に検討しても良いが陰性でも否定にはならない)
・Treponema pallidum→FTA-ABS(梅毒トレポネーマ蛍光抗体吸収試験)、RPR(rapid plasma antigen)、TPHA(Treponema pallidum particle agglutination)
・Toxoplasma gondii→Anti-toxoplasma IgM