がん緩和ケアブック 気持ちのつらさへの対応
はじめに
・気持ちのつらさとは精神的苦痛に関する幅広い概念。
・不安は不確実な脅威に対する心理反応である。がん患者の具体的な不安の内容として死への恐怖、今後の生活への不安、自信・生きがいの喪失、些細な体調変化をがんの進行と捉えてしまうなどある。まずは実際にどんなことを不安に思っているのかを傾聴する。
・何がつらいのか共感しながら探索する。
→心配の内容。「気持ちを辛くさせていることはどういったことですか?つらい症状や病状に関しての心配や気がかりにされていることはありませんか?」
・薬剤によるアカシジアではないか注意。
希死念慮の確認
家族に対して:死んでしまいたい。早く命を終わらせてほしいと患者さんがおっしゃることはありますか?
本人に対して:気分がつらいそうですがもう全てを終わりにしたい、生きていてもしょうがないと感じることはないですか?
治療のポイント
・精神的サポートを行う。患者の話を傾聴する。受容、共感し病気に伴う不安や苦悩を和らげることが最も重要
・痛み、アカシジアなどの気持ちのつらさの原因に対して介入する。
・BZ系抗不安薬:どの薬剤も同様の効果が期待できる。
処方例
・まずはベンゾジアゼピン系から処方:アルプラゾラム0.4mgもしくはロラゼパム0.5mg屯用(使用回数に応じて定期処方 1回2錠1日3回まで)→1週間後に「楽になった」との評価がなければSSRI・SNRI・NaSSAを選択する。
・SSRI・SNRI・NaSSAとしてはセルトラリン、エスシタロプラム、ミルナシプラン、デュロキセチン、ミルタザピンなど
治療目標
・1〜3週間で評価する。
気持ちのつらさに関するQ &A
・まずは時間をとって話を聞きたい旨を伝える。
・つらい気持ちに至った背景・困りごとを探索する。
・死にたいと言われたら。患者の気持ちのつらさの表現の一つであることからつらさを受け入れ、理解しようとしていることを伝える。力になりたいと思っていることを伝える。
・死にたいという気持ちになった経緯・背景を把握する。
・難しそうなら、気持ちのつらさを専門に診ている医師に診てもらってはどうかと提案する。
・受診したくないなら、意思を尊重しつつ受診したくない理由を尋ねる。