とある総合診療医のノート

地方病院勤務総合診療医の日々の勉強・学びのアウトプット

癌性リンパ管症についてまとめてみた

癌性リンパ管症(lymphangitis carcinomatosa)とは何か?

研修医でも呼吸器内科などをローテートした人なら経験したことがあるのではないだろうか。

頻度は明確なデータはないが、がん細胞の転移様式のひとつと言われ発症すれば予後は数ヶ月という状態である。

癌性リンパ管症の病態・原因・症状

・肺のリンパ系に腫瘍が増殖した状態。

・肺末梢の血行性肺転移が、末梢の間質、リンパ管を浸潤し、リンパ行性に肺門へと進展する。

・病理学的にはリンパ管内における腫瘍増殖。

・リンパ管閉塞による肺水腫、肺胞への腫瘍の進展、血管浸潤による出血を合併することあり。

・呼吸困難、乾性咳嗽など呼吸器症状が出現。

・進展がはやく予後不良。約50%は発症3ヶ月以内に死亡。

・胃癌、乳癌、膵癌、前立腺癌、肺癌(腺癌、小細胞癌) で多い。(腺癌がほとんど)

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癌性リンパ管症のイメージ

・リンパ路である広義間質が厚くなる。粒状影や数珠状に肥厚することあり。

・かかえこんでいる肺胞の壁は厚くならない。

・亀甲状あるいはpolygonal structureと呼ばれる多角形の小葉間隔壁の肥厚。小葉中心性粒状影(central dot)。

・腫瘍の進展に伴うリンパ管閉塞や肺胞出血はすりガラス影として認める。

・肺のdistortion(ねじれ)なし。

・約50%は片側性、左右非対称性。

・肺門/縦隔リンパ節腫大(20-40%)、胸水(30-50%)が見られることが多い。

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癌性リンパ管症のCT画像

癌性リンパ管症の治療法
・根本的な治療法はない。

・原因となっている癌に対する抗がん剤治療

・基本的には呼吸困難に対してステロイド、酸素投与、麻薬投与などの対症療法