とある総合診療医のノート

地方病院勤務総合診療医の日々の勉強・学びのアウトプット

湿布(シップ)についてまとめてみた

湿布(シップ)についてまとめてみた

入院患者でも外来患者でもよく湿布が欲しいという訴えの人は多い。しかしその一方湿布についての勉強はほとんどと言ってもいいほどしてこなかったのではないか?

そこで今回は病棟で処方する機会が多いNSAIDs外用薬について薬剤ごとの特徴と注意すべき点についてまとめることとする。

Q1:湿布は冷たいものと温かいものどちらがいいのでしょうか?

→一般論では急性炎症には冷感用、慢性炎症には温感用(しかし確立したエビデンスはなさそう、、、)

Q2:かぶれや掻痒感など皮膚症状が出てきてしまった。中止するべきだろうか?

→中止することも考慮。しかしケトプロフェンによる光過敏症を発症することがあるため日光には直接当たらないなどの対策を講じる。

Q3:妊娠患者に使用しても良いか?

→モーラス、ミルタックス:退治の動脈管収縮の可能性のため禁忌

→ロコア:母動物の脂肪、分娩遅延、出生率の低下などのため禁忌

Q4:関節リウマチ治療薬のメトトレキセートとモーラステープの併用は禁忌

Q5:アスピリン喘息を助長する可能性があり、既往をしっかり問診する。

あまり知らない湿布のエビデンス

  • ジクロフェナク(ボルタレン、ナボール):NNT=2
  • ケトプロフェン(モーラス、ミルタックス):NNT=3
  • イブプロフェン(スタデルム):NNT=4

つまりどのNSAIDs外用薬を選んでも2〜4人にⅠ人は症状が改善する。

テープ剤VSパップ剤

テープ剤の特徴:テープ剤はⅠ日Ⅰ回の張り替えでよく粘着力が強いため剥がれにくい製剤。その分剥がす時の皮膚の負担が大きくかぶれやすい。また水分を含まないため冷却効果がなく慢性炎症に適している。

パップ剤の特徴:パップ剤はⅠ日2回の張り替えが必要で粘着力が弱い分皮膚のかぶれは少ない。冷却効果があり急性炎症に適している。しかしアイシングの方が効果的なのでアイシング併用が望ましい。

例外として2015年に発売されたモーラスパップXRはパップ剤であるがⅠ日Ⅰ回の張り替えでよくかぶれにくいため高齢者の腰痛などに適している。

主に取り扱われているNSAIDs外用薬の一般名と商品名。

大きさ 大:14*20cm  中:10*14cm   小:7*10cm

処方パターン

急性腰痛症+テープかぶれしやすい人

→ケトプロフェン2%(モーラスパップXR240mg)疼痛部にⅠ日Ⅰ回貼付

変形性膝関節症+他に疾患なし

エステルルビプロフェン・ハッカ油製剤(ロコアテープ)疼痛部にⅠ日Ⅰ回貼付

ちなみにロコアテープの適応病名は変形性関節症における鎮痛、消炎のみである。