とある総合診療医のノート

地方病院勤務総合診療医の日々の勉強・学びのアウトプット

保湿剤まとめ

保湿剤は下表3種類のみ

f:id:gimresi:20191219092140j:plain

それぞれの特徴は?

ワセリン:油脂性基剤を主とした保湿剤。油なので加湿効果は見込めない。保護(バリア機能)するだけと考えるので比較的潤っている入浴後に使用すると効果的。バリア機能がある反面ベタつきが多いのが難点。落とす際も水だけでは落ちにくく石鹸などで洗い流す必要がある。服につくと汚れとして残る可能性が高いのであまり好まれない。

ヘパリン類似物質:クリーム剤を中心によく処方されている。水分保持に強く人気がある。保湿剤の中では比較的高価であり25g:555円、50g:1110円。ジェネリックでも2/3ほどの値段で高い。

剤形にはローション、フォームなどもありローションはクリームよりサラサラして使用感がよく、伸びが良いがバリア機能は落ちる。フォームは泡なのでローションより広範囲に広げやすくがよりバリア機能は落ちる。

尿素:ウレパール、パスタロンなど。角質の軟化を得意とする。搔き壊しなどの創傷を伴う皮膚では刺激がある。

使い分けポイント!!

ワセリンは水分保持機能を増強しないが角質軟化作用とバリア機能を増強させる。びらんや潰瘍があっても使用可能。安いがベタつきがあるのが難点。

ヒルドイドは水分保持機能を増強させるが角質軟化作用・バリア機能は維持させるにとどまる。

ウレパールは角質軟化作用を増強させるが皮膚刺激性がある。

症例

高血圧と脂質異常症で通院中の72歳男性。定期受診の際に「最近、乾燥肌なのか痒みが酷いです。特に風呂上がりがひどくて、何かいい薬はありませんか?」と尋ねられた。

→冬の時期ならば暖房などによる室内乾燥に気をつけること、可能であれば加湿器を併用すること、それ以外に入浴後に皮膚をタオルでこすり過ぎないこと、痒いとことをかかないことを指導した上で、まずは外用薬としてワセリンを使用しベタつきがきになるようであればヒルドイドへの切り替えをする方針になった。1日1回以上風呂の後に塗布するようにお願いした。