漢方薬を処方する上で知っておきたいこと②
学ぶべき内容
・陰証、陽証について
・虚、実について
・気、血、水についての考え方
・五臓とは?
・四診について(望・聞・問・切)
・陰証、陽証について
病気の中には温めると症状が改善したり悪化したりするものがある。
漢方医学では個々の生薬に「温める」「冷やす」「どちらでもない」という性質があると考えられている。
温めると改善が得られる病態を「陰証」、冷やすと改善が得られる病態を「陽証」という
・虚実について
虚とは簡単にいうと元気がない状態を指す。「気」の働きが低下した状態。この病態を「虚証」といい、人参、黄耆、膠飴などを含む処方で対処する。
実とは体内に病的産物が存在する状態。身体表面に病的産物があれば発汗などにより、身体内部にあれば瀉下や利尿により、病的産物の排除を図る。前者では桂皮や麻黄、後者では瀉下に大黄が、利尿に茯苓、朮、沢瀉などが用いられる。これらの他に身体内部で病的産物を中和してしまうという考え方の治療があり「和解」と呼ばれ、柴胡が配合された柴胡剤を用いる。
漢方医学では人間の体は気・血・水の3要素で構成され、全身を巡り、活動させていると考えられている。
この3つの要素のバランスが崩れた時に体調不良や病気になったり、さまざまな障害が起こると考えられている。
気:生命のエネルギー、元気、気力など、神経機能をあらわす。
血:血液、全身を循環し、臓器に栄養を運ぶ役割
水:体液や分泌液、血液以外の水分、水の代謝や免疫に大きくかかわる。
【気】
人を生かしているエネルギー、生命力のこと。元気、やる気、眠気などすべて「気」。人の行動の元、心には気のエネルギーが深く関わっています。気は、目には見えなくても、常に体内を循環し、体力が低下した時やストレス状態には気の循環が滞ってしまい、循環する気が不足していると考えられる。
【血】
全身を循環し、生命を維持するために皮膚、筋肉、目、鼻、胃腸、子宮などあらゆる組織や器官に栄養素を運んでいる。血の循環が順調であれば、皮膚が潤い、力がみなぎり、生命活動も活発になる。血量の不足や、血のうっ滞は、さまざまな症状を引き起こす。
【水】
体内を循環する血以外の水分となる。体液や分泌液、尿や浸透圧のことを指す。水の循環が円滑ならば、皮膚は潤いと張りが保たれ、筋肉、関節の動きをスムーズに保つことができ、脳にも栄養がもたらされ充実する。不足や水分調節の器官に異常が生じるとむくみやめまいなどさまざまな体調不良の原因となる。
・五臓とは?
漢方医学では内蔵諸器官を五臓六腑と読んでいる。すなわち五臓とは肝臓、心臓、脾臓、肺、腎臓をさし、六腑とは胆嚢、小腸、胃、大腸、膀胱、および三焦をさす。
・四診について(望・聞・問・切)
漢方医学における診察法である。望とは視覚を、聞は聴覚あるいは嗅覚を、問は言葉による情報のやり取りを、切とは触覚を通して情報を得る診察法。