とある総合診療医のノート

地方病院勤務総合診療医の日々の勉強・学びのアウトプット

Vital talk 救急現場のACP

目標

・SPIKES、NURSE、REMAPを知る

・救急現場で利用できるようになる

 

なぜ goals-of-care discussions が重要か

• 患者の終末期の希望が共有され、尊重される事につながる BMJ. 2010;340:c1345.

• 終末期の積極的な(人工呼吸器や心肺蘇生など)医学的介入を減らし 終末期ケアの質の上昇につながる

JAMA. 2008;300(14):1665-1673. / JAMA. 2016;19;315(3):284-92.

• 終末期の延命処置の費用を削減でき、死の質の改善につながる Arch Intern Med. 2009 ;169(5):480-8.

 

 

SPIKES

 

SPIKESはSetting、Perception、Invitation、Knowledge、Empathy、Strategy & Summaryの頭文字。これに則って患者へ説明、治療方針の決定を行なっていくフレームワーク

 

S:Setting-適切な面談環境を設定する

プライバシーに配慮した、安心して落ち着ける環境を準備する。できれば看護師さんも同席するのが望ましい。

「患者待合室で、人が行き来するなら、場所を移動して、座ってもらって同じ目線で話し始める。」

 

P:Perception-患者の認識を知る

患者が、自分の状態、これからのことをどのように考えているか、どのくらいまで理解しているかを聴取する。間違った認識であっても一旦聞くことにする。

「紹介患者であれば、紹介元の先生にはなんと言われましたか?

 救急車で来院であれば、施設であれば、施設からなんと聞いていますか?自宅からなら自宅で何が起こったのですか?」

 

I:Invitation-説明の前に許可を導入、許可を取る。

「病状を説明させていただいてよろしいですか。」

 

K:Knowledge-診療情報を伝える

エビデンスに基づいた情報を、絵やわかりやすい資料などをうまく利用しながら提供する。

「病状を平易な言葉で説明する。正確さも重要であるが、理解を優先する」

 

E:Empathy-共感を示す

悪い情報を提供したら、患者さんがどんな気持ちになっているかに共感しながら、一方で客観的に、患者さんの様子を観察、評価する。

「驚かれたでしょうね」「こんなことあなたに言うのは私も辛いですよ」「あなたのそんな気持ち、私もわかりますよ」などと共感をする。「どうしてそのように思うのか、もう少し話をしてくれますか?」など具体的な気持ちを探索する質問も、共感を深めるのに役立つ。また、沈黙には沈黙で。患者さんが話し始めるのを待つことも大切である。

 

S:Strategy & Summary-方針を提示する。

最後に話したことをまとめる。そしてこれからどうするかを提示する。現実の中で、できる最善のことを一緒に考えていく姿勢を見せる。

 

感情に対応するスキル

NURSE

じゃあなぜ感情に共感するスキルが必要なのか?

→反応する感情は時に認知・理解の妨げになる

感情の波が出た場合、感情的になった場合、NURSE時に沈黙も効果的。

 

REMAP

深刻な病気・病状を話し合う際のフレームワークとしてREMAPと言うツールがある。

 

goals-of-care discussions の framework として

REMAP推奨

 

–  Reframe 状況の変化の説明

–  Expect emotion 感情への対応

–  Map out patient goals 重要な価値観の掘り下げ

–  Align with goals 患者の価値観に基づいた治療の方向性を確認

–  Propose a plan 具体的な治療計画
J Oncol Pract. 2017 Oct;13(10):e844-e850.

 

家族が積極的治療を望み続ける場合

ーtime-limited trial を活用する。 Back AL. JAMA, 293 (11) : 1374-81, 2005

                Chang DW. JAMA Intern Med, 181(6):786-94, 2021.

患者・家族と医療者間の対立でよくあるのは、医療者側が患者は明らかに終末期に近づいていると判断していても、家族が積極的な治療を希望し続けるケースである。このようなケースはtime-limited trial が有効なことがある。

time-limited trialとは予後が不透明かつ治療目標が確定しきれない重症患者において、期限を定めて積極的治療の効果を測る方法である。

家族が要求する治療が患者の状態に近畿ではなく、治療呼応かの有効性が不確かなとき、そしてその治療が患者の治療目的や価値観に沿っている場合は、できる限り患者に関与している全ての人と話し合った上で、医療者間で確認し、計画をカルテに記録してから、time-limited trialを行う。

・time-limited trialの目的と治療期間

・経過観察中に注目する症状や検査結果(何をもって状態が良くなっている、悪くなっていると判断するか)

・time-limited trialの成功・不成功の判断基準(患者や家族側からの意見も確認する)

 

できることは全てしてくださいに対応する

「全て」とは何なのか?

「可能な医療全て」と捉えるのではなく、その背景にある真意に注目する。

というのもどのような苦痛を伴う治療でも「全て」をリクエストしてくる人は比較的稀である。治療を控えるということは見捨てているということに思われてしまう。

「全て」とおっしゃいましたが、どういう意味なのかもう少し詳しく教えていただけますか?

例えば、「心配していることはなんですか?」「大事なことはなんですか?」「治療によってどのようになることを望んでいますか?」「ご自身の病状についてどのように聞いていますか?→理解できていないなら、補足説明を行う

患者や家族の感情や価値観を探って、それに基づいた治療方針をREMAPに下いて提案して反応を伺う。

それでも全てを希望するならtime-limited trialを提案してみる。

それでも全てなら文字通り「全て」を行う。

その場合は、説明内容となぜそのような治療方針を選択しているかを多職種で共有することと、文字通り「可能な医療行為を全て行い、1秒でも生物学的な生命を長く保つことが大事」スタッフの心理的負担に配慮する。(余計に説得を試みることはせず、無益と思われる治療に対する葛藤を抱く医療スタッフのメンタルケアにも配慮)

 

医療用語解説

withhold:治療差し控え

「これからは苦痛などの症状があるときは、症状緩和のための薬やケアを積極的に行います。ただし、これ以上お体に負担をかけるような治療を新たに行なったり、増やしていくことはしないようにします。人工呼吸器の設定や、今使っている薬の量は下げることができれば、下げますが、これ以上上げることはしません。心停止となった時も、心肺蘇生はお体を痛めつけることになるので行いません。」

 

withdraw:治療中止

「これからは辛い症状を取るための治療だけを行います。自然な形で最後を迎えられるように苦痛をとるためのお薬を継続し、必要に応じて増やしていき、苦痛がないようにします。今使用している血圧を上げる薬や抗菌薬や人工栄養は全て終了します。心停止となったとき、心肺蘇生はお体を痛めるけるため行いません。今までの治療をやめた場合、その後どれくらい頑張られるかは正直わかりません。比較的短い時間で、数時間の方もいれば、数日とながらえる方もおります。いずれにせよ最後の時間が車で、症状に気を配り、サポートさせていただきます」

 

withdraw:治療中止(抜管を含めて)

抜管を行う場合は、患者・家族の意思確認の後、部署内多職種カンファレンスでの合意形成および病院の臨床倫理委員会の承認を経た上で行われます。抜管に先立ち、抜管後の症状緩和や家族のグリーフケアを十分行えるように備えたあと、患者の最後に立ち会いたい家族・親族・友人などと日程調整の上で、日時を決めて行う。

「ご家族の最後は自然な形でというご意向に沿うために、今使用している血圧を上げる薬や抗菌薬、点滴や人工栄養は終了して、苦痛を取るためのお薬だけを使用します。喉から管は抜き、人工呼吸器を終了します。呼吸困難などの症状があるようであれば、モルヒネを使用し、症状が無くなるまで増やしていきます。喉の管を抜くと喘ぐような呼吸になったり、唾液などの分泌物で喉がゴロゴロしたりすることがありますが、それは最後までご自身の力で呼吸しようとする自然な姿です。人工呼吸器をやめた場合、その後、どのくらい頑張ることができるかは、わかりませんが、短ければ、数分〜数時間、または何日とながらえる方もいらっしゃいます。いずれにしても、最後の時間が来るまで、症状に気を配り、サポートさせていただきます。」

ヘパリン化の例 総合内科病棟マニュアルより

・そもそもヘパリン化のエビデンスは乏しい

抗凝固薬や抗血栓薬のいずれにおいても、ヘパリン化によって血栓症を予防できると証明されている試験はないと思われる。

ただし、慣習的に、また減らす可能性はあり、すること自体は個々の症例でも良いと思われる。

 

ヘパリン置換の手順

「循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2012年度合同研究班報告)」の中の「抜歯や手術時の対応」からヘパリンへの置換について抜粋しますと、

  • 大手術の術前3~5日までのワルファリン中止と半減期の短いヘパリンによる術前の抗凝固療法への変更
  • 大手術の術前 3~5 日までのワルファリン中止、24 時間~4 日までのダビガトラン中止、24 時間以上のリバーロキサバン中止、24~48 時間のアピキサバン中止とヘパリンによる術前の抗凝固療法への変更
  • ヘパリン(1.0~2.5万単位/日程度)を静注もしくは皮下注し、リスクの高い症例では活性化部分トロンボ時間(APTT)が正常対照値の1.5~2.5倍に延長するようにヘパリン投与量を調整する
  • 術前4~6時間からヘパリンを中止するか、手術直前に硫酸プロタミンでヘパリンの効果を中和する
  • いずれの場合も手術直前にAPTTを確認して手術に臨む
  • 術後は可及的速やかにヘパリンを再開する
  • 病態が安定したらワルファリン療法を再開し、PT-INRが治療域に入ったらヘパリンを中止する

ただし、いずれもクラス IIa′の推奨となっています。

  • IIa′: エビデンスは不十分であるが、手技、治療が有効、有用であることにわが国の専門医の意見が一致している

また、再開についてはワルファリンについての記載しかないなど、ガイドライン上でのヘパリン置換はまだ新規抗凝固薬(DOAC)に対応しきれていない印象もあります。

 

ヘパリン 1万単位/10ml+生理食塩水40ml 1ml=ヘパリン200U

・80U・kg静注して、18U・kg・hrで持続投与開始

・APTTをヘパリン投与前および6時間ごとに測定する

・未分化ヘパリン投与プロトコル

初期投与:ボーラス 1kgあたり80U静注して 18U/kg/hrで開始

APTT<35秒 80U/kgボーラスして、4U増量

APTT 35~45 40U/kgオーラスして、2U増量

APTT 46~70 変更なし

APTT 71~90 2U/kg/hr減量

APTT >90  1時間中止し3U/kg/hr減量して再開

ヘパリン置換は不要とする意見

近年、BRIDGE試験の結果などからヘパリン置換が不要との意見も増えてきています。ですが、まだまだエビデンスレベルが高いものが揃ったとは言えない状況でもあります。 BRIDGE試験は心房細動患者のワーファリンからのダルテパリンブリッジの試験です。患者は心房細動に限られ、薬剤も日本で一般的に使われるヘパリンではなくダルテパリンを使用していますので注意が必要です。そのような内容も吟味したうえでヘパリン置換を考えていく必要がありそうです。

抗血小板療法について

近年、冠動脈、頸動脈、下肢動脈の狭窄に対するインターベンション治療が盛んになっており、血栓閉塞の予防のため、抗血小板療法は必須となっております。心、脳血管障害発生後、アスピリンを中心とした抗血小板療法により、非致死性心筋梗塞、非致死性脳梗塞と血管障害死亡の発生を約25%減することができます。アスピリンの服薬中止は、継続投与に比べて脳梗塞発症リスクが3倍高くなる報告もあります。
また、冠動脈における薬剤溶出型ステント(DES)の出現により、ステント再狭窄は従来型のステント(BMS)に比べ、格段になくなりました。しかし、薬剤溶出型ステント部は内皮の被覆が遅延しており、遅発性ステント血栓症の発症がBMSに比べ、多くなります。冠動脈ステント留置後の抗血小薬は2剤併用(DAPT)(アスピリン+チエノピリジン製剤)が基本であり、アスピリンは無期限の投与が勧められています。DESを留置した患者では、DAPTが12か月(最短3か月)必要ですが、BMSでは最短で1か月必要です。
非心臓手術前のPCIにおけるガイドラインにて、術中、術後の出血の危険性が高い待機手術は、DES留置後は12か月、BMS留置後は最低でも1か月は延期することが望ましいとなります。DES留置症例がチエノピリジン製剤を中止しなくてはならない場合でも、アスピリンは継続すべきであり、術後、可及的早期にチエノピリジン製剤を再開しなくてはなりません。やむなく抗血小板薬を中止せざるを得ない場合は、ヘパリン投与しますが、ステント血栓症を予防するエビデンスはありません

 

抜歯や手術時の対応(文献2

 

クラスⅡa
  1. 1.至適治療域にPT-INR をコントロールした上での、ワルファリン内服継続下での抜歯。
  2. 2.抗血小板薬の内服継続下での抜歯。
  3. 3.至適治療域にPT-INR をコントロールした上での、ワルファリン内服継続下での白内障手術。
  4. 4.抗血小板療法継続下での白内障手術。
クラスⅡa´
  1. 1.消化管内視鏡による観察時の抗凝固療法や抗血小板療法の継続(エビデンスレベルC)。生検な どの低危険手技時もポリペクトミーなどの高危険手技時もワルファリンを中止ないし減量しPTINR を1.5 以下に調整(エビデンスレベルC)。低危険手技時の抗血小板薬の休薬期間はアスピリ ンで3 日間、チクロピジンで5 日間、両者の併用で7 日間、高危険手技時の抗血小板薬休薬期間 はアスピリンで7 日間、チクロピジンで10 ~ 14 日間(エビデンスレベルC)。血栓症や塞栓症 のリスクの高い症例ではへパリンによる代替療法を考慮。
  2. 2.術後出血への対応が容易な場合のワルファリンや抗血小板薬内服継続下での体表の小手術。
  3. 3.出血性合併症が起こった場合の対処が困難な体表の小手術やペースメーカ植込み術での大手術に 準じた対処。
  4. 4.大手術の術前3 ~ 5 日までのワルファリン中止と半減期の短いヘパリンによる術前の抗凝固療法 への変更。ヘパリン(1.0 ~ 2.5 万単位/ 日程度)を静注もしくは皮下注し、リスクの高い症例で は活性化部分トロンボ時間(APTT)が正常対照値の1.5 ~ 2.5 倍に延長するようにヘパリン投与 量を調整する。術前4 ~ 6 時間からヘパリンを中止するか、手術直前に硫酸プロタミンでヘパリ ンの効果を中和する。いずれの場合も手術直前にAPTT を確認して手術に臨む。 術後は可及的速やかにヘパリンを再開する。病態が安定したらワルファリン療法を再開し、PTINR が治療域に入ったらヘパリンを中止する。
  5. 5.大手術の術前7 ~ 14 日からのアスピリン、チクロピジンおよびクロピドグレルの中止、3 日前か らのシロスタゾール中止。その間の血栓症や塞栓症のリスクが高い症例では、脱水の回避、輸液、 ヘパリンの投与などを考慮する。
  6. 6.緊急手術時の出血性合併症時に準じた対処。
クラスⅢ
  1. 1.抗血栓療法の中断。  抗血栓療法の中断が避けられない場合は、ヘパリン、脱水の回避、輸液などの代替療法を考慮する。

 


[文献]

失神 総合内科病棟マニュアルより

失神とは

大脳全般の韓流低下による突然の一過性意識消失発作であり、短時間で自然に完全に回復するもの。原因は多岐にわたるが病歴聴取や身体所見が診断に最も重要となる。

①本当に失神か判断し

②生命に危険を及ぼす原因(心原性、PE、大動脈解離、くも膜下出血)を除外し

③原因がはっきりしない場合のリスクに合わせた精査加療のプランを立てる。

 

原因はPASSOUT

P:Pressure 低血圧、迷走神経反射、起立性低血圧(降圧薬、脱水、急性出血)

A:Arrthythmia 不整脈

S:Seizures 痙攣

S:Sugar 低血糖

O:Output 心原性:弁膜症、虚血性心疾患、心筋症

O:O2 低酸素、肺塞栓、肺高血圧、肺気腫、喘息

U:Unusual 非典型:心因性

T:TIA、CNS disease 脳血管障害、頭蓋内出血

 

ピットフォール

・目撃者がいれば聴取

・突然発症か前駆症状がないか

・前駆症状がない場合は心原性である可能性が高くなる。

・随伴症状として呼吸困難(PE)、胸痛(ACS)、動機(不整脈)、神経学的な局所所見(TIA)、吐き気、発汗(神経調節性失神)などを確認。

・発作前、体位変換、臥位ではないか(不整脈)、労作時か(VTやAS、HCM)、体位変換、排便後や咳嗽後(状況失神)を確認。

・既往歴としては特に、心疾患、精神疾患(過換気、パニック、薬物)、糖尿病(起立性低血圧)、神経疾患(てんかんナルコレプシー)を確認。

・突然死や失神、心筋症の家族歴を確認。

・薬剤を確認。

 

身体所見

・バイタルサイン

・起立試験 0−1−3分

起立後3分の測定で収縮機血圧が20以上、拡張期が10以上の低下、心拍数が20以上の上昇もしくは症状出現、があれば起立性低血圧と判断して、原因として脱水・出血・薬剤歴をチェック。

・心血管 心雑音

・直腸診や血便がないか

・神経所見 局所症状

 

検査項目

・心電図

・血液検査 特に血算、ヘマトクリット、K、Mg、心筋酵素など

 

San Francisco Sncope Rule (CHESS)

1つ以上該当していれば、7日以内に重大なイベントが起こるリスクがある(感度96%、特異度61%)

C:Congestive heart failure うっ血性心不全の既往

H:Ht <30%

E:ECG 心電図異常

S:Shortnes of breath 息切れ

S:Systolic blood pressure 収縮機血圧<90

心不全メモ2 弁膜症、エコーについて

大動脈弁狭窄症ASについて

日本循環器学会/ 日本胸部外科学会/ 日本血管外科学会/ 日本心臓血管外科学会合同ガイドライン. 2020 年改訂版弁膜症治療のガイドライン.[https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2020/05/JCS2020_Izumi_Eishi_0420.pdf

 

僧帽弁逆流症MRの重症度

「循環器病の診断と治療に関するガイドライン:循環器超音波検査の適応と判読のガイドライン(2010年改訂版)

 

■逆流の原因を考える

僧帽弁閉鎖不全症は、本質的に左房左室が拡大し、壁運動は最後まで保たれます。このことを念頭に、逆流の原因と結果を判断します。

逆流=弁膜症ではありません。高齢者の心房細動では僧帽弁逆流を認めることがありますし、逆流シグナルは加齢で増加し、80歳以上の20%に僧帽弁逆流を見るという報告1)もあります。これらは一般には、逆流性雑音は聴取せず、心臓弁膜症よりも左房拡大に伴う機能性僧帽弁逆流と考えられます。

拡張型心筋症では左室拡大に伴う機能性僧帽弁逆流が出現しえます。これらの病態では、左房径や左室径の縮小とともに逆流が減ります。また、逆流性雑音を聴取しない僧帽弁逆流シグナルは弁膜症である可能性は極めて低いと思います。

■もっとも難しい「中等症」

原則として軽症は経過観察か内科治療、高度は手術治療を考えます。注意深い観察が必要、というのが中等症です。一つの指標では限界があるのでいくつかの指標で判断することになります。しかし、指標によっては軽症だったり、中等症だったりすることがあるためにどうしてもその中間と考えざるを得ない状況がでてきます。

ご質問の「軽度から中等度」という表記は、軽度といいきるにはもう少し経過を見たいという印象を受けたときに使用する用語と考えられます。ですから、急いで専門医に紹介する必要はなく、このような例では、経時的な変化を追うために、半年から1年後に心エコーを再検し、左房や左室拡大、ドプラシグナルの悪化がないかどうかを観察します。

とくに僧帽弁逸脱はさらなる腱索断裂や感染などにより突如逆流が悪化する可能性がある病態で、症状の変化が重症化に気づくきっかけとなることがあります。定期検査を続け、変化を認めたときには、専門医に紹介するのがよいでしょう。

ただし、注意が必要なのは、腱索断裂や弁穿孔、感染性心内膜炎、人工弁の弁周囲逆流、生体弁逆流です。これらの疾患が疑われる場合には、たとえ軽度逆流でも専門医に紹介することをお勧めします。おそらく、一歩進んだ精査を行うことになるでしょう。

表の評価法から用いる指標の種類、何を重視するかは施設間でも異なります。ある施設で軽症、別の施設では中等症と判断されることもありうる、という理解も必要です。中等症と高度の間でも同じです。決めかねる時には軽症や高度のみよりも、“中等症”をつけ加えておきたいという心理も働くのではないかと個人的には思っています。

参考文献
1)Stefano G et al. Prevalence of unsuspected and significant mitral and aortic regurgitation. J Am Soc Echocardiogr. 2008;12:38-42
2) 循環器病の診断と治療に関するガイドライン:循環器超音波検査の適応と判読のガイドライン(2010年改訂版)
3)羽田勝征著 新心エコーの読み方、考え方(改訂2版) 中外医

 

心エコー検査について

 

心エコー指標

TMFはPWを僧帽弁に位置させて計測

TMF transmitral flow 僧帽弁口血流速波形

E:拡張早期波 A:僧帽弁口血流速波形の心房収縮期波

E/A 左心房から左心室流入する血液の波:拡張能

E/e' 左房圧の予測に利用される

 

心エコー所見について

心エコーによる左室拡張機能評価のための勧告

アメリカ心エコー図学会およびヨーロッパ心血管画像学会による改訂

http://www.jse.gr.jp/contents/guideline/data/ASE-EACVIguideline%EF%BC%86base.pdf

心不全のメモ1 主に分類について

心不全の診断基準

フラミンガムうっ血性心不全診断基準

大項目を2つ、あるいは大項目1つ及び小項目を2つ有するもの

大項目

・発作性夜間呼吸困難あるいは起坐呼吸

・頸静脈怒張

・ラ音聴取

・心拡大

・急性肺水腫

・3音(ギャロップリズム)

・静脈圧>16cmH2O

・循環時間>25秒

・肝頸静脈逆流

小項目

・両側下腿の浮腫

・夜間咳嗽

・労作性呼吸困難

・肝腫大

・胸水貯留

・肺活量の減少(最大量の3分の1以下)

・頻脈(1分間に120回以上)

 

心不全には2つある

1:末梢の組織、細胞の需要に見合うだけの血液を送り出すために、左室が拡張末期圧を上昇させなければならない状態

2:末梢の組織の需要に対して、心臓が血液を送り出せていない場合

 

心不全のクリニカルシナリオ

(1)クリニカルシナリオ1(CS1)
 血圧上昇群(収縮期血圧>140mmHg)です。このシナリオでは通常症状は急激に進行します。広範な肺うっ血による呼吸困難を呈しますが、全身の浮腫は軽度のことが多いです。血圧の上昇に伴う充満圧の急速な上昇が特徴であり、左室収縮は保たれていることが多いです。。

(2)クリニカルシナリオ2(CS2)
 血圧正常群(収縮期血圧100~140mmHg)です。このシナリオでは通常症状は徐々に進行し、体重増加を伴います。肺うっ血よりも全身浮腫が優位であり、慢性心不全の状態を呈します。腎機能障害、貧血、低アルブミン血症など種々の臓器障害を合併しています。

(3)クリニカルシナリオ3(CS3)
 血圧低値群(収縮期血圧<100mmHg)です。このシナリオでは低灌流の徴候が優位であり、肺うっ血、全身浮腫とも少ないです。多くの患者は進行した終末期心不全の状態を呈します。

(4)クリニカルシナリオ4(CS4)
 急性冠症候群に伴う急性心不全群です。急性冠症候群のエビデンスはすでに豊富であるため、他の原因による心不全から除外し、急性冠症候群に対する治療が求められます。

(5)クリニカルシナリオ5(CS5)
 右室不全による急性心不全群です。肺高血圧または右室梗塞により発症し、三尖弁逆流を呈します。通常肺うっ血は認めず、左心系は低灌流を呈します。この病態による心不全は他の病態による心不全と管理が異なるため別のシナリオに分類されています。

MebazaaらはCSを用いた急性心不全の患者管理のアルゴリズムのように提唱しています。ここではCSを用いた急性心不全超急性期の初期対応について概説します。

参考文献
1)Mebazaa A, et al: Practical recommendations for prehospital and early in-hospital management of patients presenting with acute heart failure syndromes. Crit Care Med, 36: S129-S139, 2008
2)日本循環器学会:急性心不全治療ガイドライン(2011年改訂版)

 

Nohria-Stevenson分類について

Nohria-Stevenson分類は、心不全の病態を身体所見からより簡便に評価するための指標です。うっ血所見の有無(wet/dry)および低灌流所見の有無(warm/cold)に基づき、心不全の病態をProfile A、Profile B、Profile C、Profile Lの4つのプロファイルに分類しており、予後予測や治療方針を決める際にも用いられています(図)。

心不全の病態把握の分類というと、Forrester分類が頭に浮かぶ人も多いと思いますが、Forrester分類は観血的測定を前提としており、幅広い患者さんに適応することは難しいところがあります。その点、Nohria-Stevenson分類は、フィジカルイグザミネーションで得られる身体所見情報だけで評価できるため、臨床で頻用されています。

 

NYHA分類とは

New York Heart Associationの略。 1928年から心不全の重症度を評価するために用いられているツールで、 2022年AHA/ACC/HFSAガイドラインにも採用されている。

NYHA Ⅰ度

心疾患はあるが身体活動に制限はない

日常的な身体活動では著しい疲労、動悸、
呼吸困難あるいは狭心痛を生じない。

NYHA Ⅱ度

軽度~中等度の身体活動の制限がある

安静時には無症状。 日常的な身体活動疲労、動悸、呼吸困難あるいは狭心痛を生じる。

NYHA Ⅲ度

高度な身体活動の制限がある

安静時には無症状。 日常的な身体活動以下の労作で疲労、動悸、呼吸困難、 狭心痛を生じる。

NYHA Ⅳ度

心疾患のため、 いかなる身体活動も制限される

心不全症状や狭心痛が安静時にも存在する。わずかな労作でこれらの症状は増悪する。

 

Forrester分類とは

Forrester分類は、急性心筋梗塞後の患者さんにおける急性心不全の状態を評価するために、1976年に提唱されたスケールです

Forrester分類ではスワンガンツカテーテルによって得られた肺動脈楔入圧(PCWP)心係数(CI)を用いて血行動態の評価を行います。

*本来 心臓がゴムの性質、フランクスターリングの法則によって、伸びれば伸びるほど心拍出量(心係数)が上昇するが、機能が低下している心臓だと伸びすぎると、心拍出が低下してしまう。そのため、利尿をかけて心不全が安定化した後、心拍出が改善するケースがよくある。

 

心不全患者のメルクマール

呼吸困難感などの症状、浮腫、体重、呼吸音、頸静脈、SpO2、呼吸回数、レントゲン、エコー、BNP

クロストリジウム・ディフィシルについてこれだけ 疫学から診断・治療まで

はじめに

病棟を管理する診療科であれば遭遇したことはなくても、一度は鑑別にあげたことがあるであろうCD腸炎CDI感染(クロストリジウム・ディフィシル)はいつ疑うか。

教科書的には抗菌薬使用後+入院患者に発生する下痢では疑わなければならないとされている。

今回はクロストリジウム・ディフィシルについて疫学〜診断、検査、治療についてまとめる。

導入・疫学

  • CDIの定義(典型的なpresentation)
     - 24時間以内に3回以上の水様性便
     - 便検査で毒素産生C. difficileまたはトキシン陽性
      or 偽膜性腸炎を示す病理組織または大腸内視鏡所見
  • CDIは、抗菌薬下痢症の20-30%を占め、入院患者の感染性下痢のもっとも多い原因
  • ほとんどのCDI患者は、下痢発症前14日以内に抗菌薬の投与歴がある6,7)
     抗菌薬治療後腸内細菌が再生するのは2〜3ヶ月かかると言われておりその期間はCDIになる可能性はある。逆に言うと10-12週間を超えて発症することは極めて稀
  • CDI発症リスク:抗菌薬使用、高齢、入院期間、PPI、化学療法、IBDなど1, 7. 10)
  • CDI再燃リスク:高齢、抗菌薬併用の必要性、再発歴、腎不全、PPI、初発時の重症度など10)
  • 再発:6-25%7)、最新のガイドラインには25%と記載されているが日本のdataではない1)
     ※NEJMの総説13)では、1回目の再発率は20%、複数回再発している場合の再発率は60%

診断

  • 症状:下痢、下腹部痛、発熱(約15%)、食欲低下、下血や鮮血便は稀
  • 入院患者の説明できない白血球増加をみた場合は、CDIの可能性を考慮する
  • CDI検査の対象:24時間以内に3回以上の新規の下痢を発症した患者
  • 提出する検体は、下痢便である必要がある
     例外は、ileusの場合:この場合はswabが許容される(感度が十分)
  • 検査方法:複数のstepを踏んで行うことが一般的に推奨される
     - 米国での推奨:GDH+CDトキシン→NAAT or NAATのみ
     - 現在の日本での現実的な対応:1.GDH+CDトキシンを測定
      GDH陽性=Clostridium difficileが存在する(トキシン産生の有無は問わない)
      トキシン陽性=「トキシン産生」Clostridium difficileが存在する
      - GDH陰性かつトキシン陰性→CDI除外
      - GDH陽性かつトキシン陽性→CDI確定
      - GDH陽性かつトキシン陰性→2.便培養(CCFA培地)を施行しコロニーでトキシン検査
  • 各検査の感度
     - NAAT:感度は非常に高い、特異度はmoderate(無症候性キャリアでも陽性となる)
     - GDH:感度は高い(85-95%)7)、トキシン産生の有無は評価できない(特異度低い)
     - トキシンA/B:感度75%という報告がある(他の報告では70-80%)、特異度は高い
  • トキシンは室温では2時間でdegradeし、検出されなくなる可能性がある
  • 検査は、同じ下痢episodeにおいて、繰り返しても診断に寄与しない(目安:7日以内)
  • CFはめったに必要とならない(IBDの患者における診断などで有用かもしれない)
  • 再発:いったん改善した症状が治療終了後2-8週間以内に再度悪化したもの
  • 「再発」の診断方法は、初回episodeと同様
  • 小児の下痢の場合
     - 12か月未満:トキシン産生C. difficileの保菌が多いため検査すべきでない
     - 1-2歳:その他の原因が除外されなければ、検査はすべきでない
     - 2歳以上:長期間持続または悪化する下痢で、リスクがある場合検査する

CDIを起こしやすい抗菌薬

リスク比一覧(byホスピタリストのための内科診療フローチャート

クリンダマイシン31.8

セファロスポリン14.9

シプロフロキサシン5.0

ペニシリン系4.3

マクロライド系3.9

レボフロキサシン4.1

ST合剤1.2

テトラサイクリン1.1

 いずれの抗菌薬使用もリスクを上昇させるが、なかでもクリンダマイシンとセフェム系は特にリスクが高い。また抗菌薬の使用以外にもPPIの投与歴や炎症性腸疾患、腎不全の既往などもCDI発症のリスクとして知られている。

CDIの検査

主に使われる検査は2種類→GDHグルタミン酸脱水素酵素トキシンA,Bの検査

GDHはクロストリジウム・ディフィシルの存在を調べる検査(感度85-95%、特異度89-99%)。トキシンA,Bは文字通り毒素産生の有無を調べる検査(感度62-87%、特異度93-99%)

いずれも特異度は高いが感度はそこまで高くない。

GDHとトキシン両方陽性であればCDIと診断、両方陰性であれば否定的。

片方陽性、片方陰性の場合は判定保留となる。

検査で判定保留となってしまった場合、現病歴や他の検査で他疾患が考えられれば原因検索をする。ちなみに培養検査は毒素を産生しない株もあるため診断的な意味はない。大腸内視鏡検査は特異度は100%と高いが、感度は51%と低いためCDIの除外はできない。

CDIの症状は多彩であり、無症状のものから1日20行の激しい下痢まである。また炎症反応上昇も著しく白血球30000超えなど白血病レベルまで上昇するケースもみられる。感染症でここまで上昇するのはCDIと百日咳のみとも言われており、診断のヒントになると考えられる。

治療

  • CDトキシン陽性でも、下痢をしていなければ治療対象とならない
  • 治療(前提:不要な抗菌薬は中止する)
     -non-severe disease
     ・初回:Metronidazole 500mg 1日3回 or VCM 125mg 1日4回 10日間
     ・10日の時点で下痢が治癒していなければ、14日間まで延長を検討
     ・Metronidazoleで5-7日以内に症状改善しなければ、VCMに変更検討
     ・抗菌薬を継続する場合、その終了から+1週間治療を継続する専門家もいる
     ・最新のガイドラインは、VCMまたはfidaxomicinをMetroより強く推奨
     ・実際はmetronidazoleで改善する例が多く、コストも低いためMetroでOK
     ・Metronidazoleの欠点:不可逆的な神経系への蓄積毒性(2回目は使用しない)
     ・治療効果判定にトキシン検査を行わない(治療終了後も50-60%程度で陽性となる)
     -severe disease
     ・初回:VCM 125mg 1日4回 or fidaxomicin
     ・Metronidazoleは使用しない→実際はtryしてもよいと思われる
     -1回目の再発
     ・1回目Metronidazoleで治療した場合:VCM 125mg 1日4回 10日間
     ・1回目VCMで治療した場合:VCM prolonged tapered and pulsed regimen
      VCM 125mg×4/日を2週間、125mg×2.日を1週間、125mg×1/日を1週間
      その後2-3日おきに125mg内服を2-8週間
     -2回目以降の再発
      VCM prolonged tapered and pulsed regimen
      VCM 10日間→rifaximin 20日
      fidaxomicin(VCMより有意に再燃が少ない)
     -それ以降の再発
      fecal microbiota transplantation(成功率81% vs 27%:VCM群)
     -fulminant CDI
     ・VCM 500mg 1日4回+Metronidazole 500mg q8h(div)
     ・ileus:VCM注腸追加(500mg を生食100mlに溶解、1時間程度、1日4回)
     -コスト
     ・Metronidazole 500mg 1日3回 10日間:2130円
     ・VCM 125mg 1日4回 10日間:11131円
     ・VCM 500mg 1日4回 10日間:44520円
     ・Metronidazole 500mg q8h div:3756円/日
     ・fidaxomicin 200mg 1日2回 10日間:未定、承認申請中(アステラス)

 

 

Take home message

  • CDIは、抗菌薬下痢症の20-30%を占め、入院患者の感染性下痢症の原因で最多
  • 抗菌薬使用歴のある入院患者で、1日3回以上の下痢があった場合に、CDI検査する
  • 検査:CDトキシン/GDHを行い、必要時に応じて、便培養(トキシン検査含む)を追加
  • 治療:初回Metronidazole、再発1回目VCM、再発2回目VCM tapered and pulsed regimen
  • 感染対策:接触感染対策(症状改善してから48時間まで)、手洗いは流水と石鹸

クロストリジウムディフィシル感染症診療ガイドライン2022から



HCV検査の解釈について 肝炎ウイルス検査のよく分からないを解決

はじめに

C型肝炎の診断においてHCV抗体とHCV-RNAが用いられる。C型肝炎の感染経路としては医療現場においては針刺し事故や注射器の使い回しなど。感染後急性肝炎となっても30%は自然に治癒し、70%は慢性化する。慢性化すると肝硬変、肝臓がんへと進展する。

HCV抗体価の意義

HCV抗体はHCVが感染したことにより体内で産生される抗体であるが中和抗体ではないのでHCV抗体があるからと言ってウィルスを抑えてるという意味にはならない。

  • HCV抗体陽性高値(10以上)→現在HCV感染している可能性が高い
  • HCV抗体陽性低値→C型肝炎の既感染の可能性が高いが感染の初期の可能性もあるのでHCV-RNA検査も行い診断する。
  • HCVは感染直後では上昇しないので、初診時に陰性だからと言って急性C型感染を否定できるものではない。HCV感染してからHCV抗体が陽性になるまで2−3ヶ月かかる(ウィンドウピリオド)。

HCV-RNAの意義

一方で、HCV-RNAとはウィルスのRNA(つまり本体)の測定なのでHCV-RNAが高値であれば現在のHCV感染を意味する。が、感染直後から陽性となるわけではなく、HCV感染してから3週間ほどしてHCV-RNA陽性となる。

逆にHCV抗体が陽性でHCV-RNAが陰性であれば「かつてHCVに感染していた(既感染)もしくはHCV抗ウィルス療法によりウィルスが消失した状態と判断される」

HCV-RNA量はインターフェロン療法の効果判定に用いられるが、一般的に5logIU/mL以上を高ウィルス量、5LogIU/mL未満を低ウィルス量とされる。

まとめ

まずはHCV抗体価をチェック(抗体高値であれば現在のHCV感染示唆、陽性低値であれば既往感染を示唆、陰性であれば否定的だが、感染後3ヶ月ほど経過しないと陽性にならないので要注意)

HCV抗体陽性ならHCV-RNA測定する

HCV-RNA高値(5logIU/ml以上)であれば現在のHCV感染を示唆

HCV-RNA低値(5logIU/ml以下)であればHCV既往感染を示唆