乳児検診(1ヶ月)
はじめに
1ヶ月健診は多くの母親が初めて小児科医師に出会う機会である。
・小児科医としては1ヶ月の時点ではほとんど経過観察するものが多く。母親を安心させて帰すことが重要
・体重増加の目安は20〜50g
カルテテンプレート
S:
1ヶ月健診。(00ヶ月00日)
同胞:
栄養方法: ミルク量:
O:
体温:
体重:(退院時より00g/dayで増量)
大専門:平坦か? 何センチか?(3×3センチ以内が正常)
心音: 呼吸音:
腹部:
肝脾腫:(肝臓は3センチ異常触れると異常)
咽頭:(口腔内所見はなく原因となるので全ての所見の最後にとる)口腔粘膜に舌圧子で除去できない白苔があればカンジダ感染の可能性があるが哺乳に問題なければ自然軽快するため経過観察。
股関節開排制限:
筋緊張:
引き起こし反射:
モロー反射:
皮膚:
先天性代謝異常:
A:
上記に異常ある所見を書く
P:
ケイツー処方
予防接種・股関節脱臼についての紙を手渡す。
母親からの質問
- 湿疹が出ているですけど?(顔・頭・体)
1か月くらいまでの赤ちゃんの肌は、ホルモンの分泌が盛んであるため、顔を中心に湿疹が出やすい。大人で言えばニキビみたいなものですから、石鹸をしっかり泡立てて洗ってあげる。
化膿しているように見える場合は薬を塗ってあげたほうがいいと思われるが一番重要なのは清潔に保つことである。
今の段階からアレルギーとかアトピーとか心配する必要はありません(今の時期はブツブツが出ても病気ではないから)。2~3か月たっても良くならないような湿疹の場合は、しつこい湿疹ということになります。
- 母乳が足りているか心配
母乳が足りているかどうかは体重の増加量とおしっこの回数で判断する。おしっこが1日10回以上あれば大丈夫と判断する。母乳をあげた後に泣く子は母乳が足りていない場合もあるが単におっぱい好きな可能性もある。
- 体、目が黄色い(黄疸)
赤ちゃんは生まれて1週間ぐらいは生理的黄疸がある。しかし母乳栄養の赤ちゃんは1ヶ月健診の時でも体や眼が黄色い場合があるが母乳性黄疸で心配はいらない。しかし体が黄色い+白色便の場合は胆管閉塞の可能性があるため注意。
- 母乳やミルクを吐いてしまう。
赤ちゃんは体に対して胃が大きく大人よりも吐きやすい構造。お腹が張っている時などはゲップができているか確認。頭を上にして抱っこしたら空気は上に上がってくる。体重の増加が問題なければ大丈夫。
- 便の回数が多い、少ない
赤ちゃんの便は大人の下痢便(色は黄色から緑がかった色まで)。3日に1度の排便でも大丈夫なことがある。
排便が少ないなら綿棒浣腸の指導を。ミルク、母乳の飲みが悪いや機嫌が悪いなどは医療機関受診を。母乳栄養は特に排便回数が多くなるが生後1ヶ月をすぎると排便回数はだんだんと減ってくる。下痢がひどくオムツかぶれが目立つなら亜鉛華軟膏処方も。
- 目やにがよく出る
赤ちゃんは鼻涙管が発達していないから目やにが出やすいことがよくある。遅くとも生後6ヶ月には改善していることが多くそれ以後も続く場合は調べたほうがいい。
- 鼻がブヒブヒいう
赤ちゃんは鼻の奥が狭くてこのようになりやすい。成長とともに改善する。
- 顔を赤くして気張っている
ウンチを気張っている場合も多く綿棒浣腸の指導を。それ以外でもあったりするが大きくは心配ない。
- 呼吸がゼーゼー言っている
必ずしも風邪をひいているとは言えない。哺乳が進んでいれば心配いらない。ミルクの飲みが悪いなどあれば小児科へ
- よりめになっている
赤ちゃんは1ヶ月ぐらいではまだ目が見えていない。2〜3ヶ月ぐらいから認識してあやすと笑ったりする。
時期が来れば治るのがほとんど。
- 痙攣みたいな動きをする
ちょっとのことで手足をピクピクさせたりすることはあるが、目が片方を向いていることや手足が大きくガタンガタンと動かすなどなければ心配いらない。
- しゃっくりが出る→自然に止まるのを待ちましょう
- 熱が出る 赤ちゃんは体温調節がまだ未熟である。体が熱くなる原因がなかったか考え、原因を除去してから1時間後にもう一度体温測定し38度あるようなら受診を。
こんなときは受診してください
・熱がある
・ぐったりして、泣く元気もない
・母乳・ミルクを飲まない
・おしっこの回数がいつもより少ない
・よく吐く
・よく分からないけど、お母さんから見ていつもと違う
1ヶ月健診で見落としてはいけない異常と疾患
・頭蓋異常:小頭症、水頭症
・目の異常:先天性白内障、斜視
・耳の異常:難聴、副耳、先天性耳瘻孔
・口の奇形:口蓋裂
・筋性斜頸
・先天性新血管奇形
・消化器系異常:肥厚性幽門輪狭窄、胆道閉鎖症、臍ヘルニア、鼠径ヘルニア
・先天性代謝異常
・染色体異常