とある総合診療医のノート

地方病院勤務総合診療医の日々の勉強・学びのアウトプット

失神患者に対して行う心エコーの意味

はじめに

失神患者はよく循環器内科にコンサルトする場面がある。循環器的には心エコー、ホルター心電図などで失神を起こしうる病変の有無を精査する

失神患者の心エコーでどこを観察するか

心原性失神の評価目的に心エコーをする時に注目するところ

  • ・局所壁運動低下:

明らかなアシナジーがあれば心筋梗塞の可能性を考える。

  • ・EF低下:

原疾患は何であれ(陳旧性心筋梗塞や心筋症やら)、EFが20〜30%と低下していれば低左心機能によりVTやVFなどの不整脈が出現しやすくなる

  • ・弁膜症:

ASの有無を評価する。弁口面積や最大血流速度など。

ARを認めたら大動脈解離の可能性も考える(解離が大動脈弁まで及んでいる状況)

  • ・右心系の評価:

右室の拡大(径30mm以上や右室径>左室径)やTRPG>30mmHgなど上昇あれば肺塞栓症の可能性を考える(→Dダイマーや造影CT)

  • ・左室の壁厚:

肥大型心筋症がないか評価。閉塞性肥大型心筋症や心筋症が原因で不整脈が起こることも。