とある総合診療医のノート

地方病院勤務総合診療医の日々の勉強・学びのアウトプット

PBCとPSCの違い 今さら聞けない常識

はじめに

PBCとPSCは名前が紛らわしいので今回整理して覚えることとする。

PBC=primary biliary cirrhosis=原発性胆汁性肝硬変=原発性胆汁性胆管炎

PSC=primary sclerosing cholangitis=原発性硬化性胆管炎

PBCは慢性の肝内胆汁うっ滞をきたす疾患。肝内胆管における慢性非化膿性破壊性胆管炎が特徴的。PBCでも胆管の炎症が起きているからややこしい。

PSCは管内外の胆管の繊維製狭窄を生じる進行性の慢性炎症性疾患。病理的には胆管癖の繊維性肥厚とそれに伴う内腔の狭窄が見られ、繊維性閉塞性胆管炎の像を呈する。これも進行すると肝硬変になるからややこしい。

■ではどう理解すればよいのか

PSCは胆管が潰されるという点ではPBCと同じであるが、違う点もある。まず侵される胆管の太さが違う。PBCでは肝内の小さな胆管が潰される

PSCでは肝内・肝外を問わず全ての胆管が侵される。特に肝外胆管と太めの肝内胆管が中心。

病理所見でもPSCでは胆管を取り囲むように玉ねぎ用に輪状の線維化をきたすという特徴がある。これはPBCではみられない。

■PSCとPBCの違い

・PSCはPBCよりも頻度が少ない

PBCは中高年の女性に好発するがPSCは20~40代の男性に多い

PBCはシェーグレン症候群の合併症が多く,PSCは潰瘍性大腸炎の合併症が多い。

・腹部画像診断でPBCは異常所見なし、PSCはERCPやMRCPで肝内肝外胆管に多発性の狭窄・壁不整などを認める(=連珠状所見beaded appearance)

また特異的検査としてPBCでは抗ミトコンドリア抗体が有名であるがPSCは特異的検査がなくIgG4関連硬化性胆管炎と二次性硬化性胆管炎の除外が必要となる。