とある総合診療医のノート

地方病院勤務総合診療医の日々の勉強・学びのアウトプット

風邪診療  発熱+発疹

はじめに

このカテゴリーとして最も多いのは蜂窩織炎である。全身性であれば診断がつかない何らかのウイルス感染に伴うもの(中毒疹)、もしくは薬疹の疑いとなることが多い。

病歴聴取

・年齢:高齢者ではウイルス感染ではなく、非感染性疾患(薬剤性)もしくは最近感染症

・ワクチン接種歴:水痘、ムンプス、麻疹・風疹、インフルエンザ、りんご病

・暴露歴:上記感染症のコンタクト。マイコプラズマ感染症(多形滲出性紅斑など)

・季節性:エンテロウイルス感染、川崎病、パルボウイルス感染、ライム病、ツツガムシ病

・性交渉歴:HIV、梅毒、ヘルペス、淋菌

・薬剤歴:ペニシリンセフェム系、抗痙攣薬

・海外渡航

・ペット飼育

  • おまけ 麻疹の経過
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  • おまけ 風疹の経過

初期症状(発疹の1 - 5日前)は微熱、頭痛、倦怠感、鼻水、せき、痛みのないバラ色の口蓋斑点。

顔、耳後部から、赤く癒合性のない点状の紅斑(発疹)が全身に広がり、多くは3 - 5日程度で消える

小児発症者の約25 - 50%に、38 - 39℃前後の発熱が3日間程度続く。成人発症者では、5日間程度の発熱。

耳介後部、後頭部、頚部のリンパ節の腫れ。発疹出現5 - 10日前から数週間にわたりみられる。

眼球結膜の軽度充血や、肝機能障害が見られる場合がある。

小児では咽頭炎のみがみられたり、無症候性感染(不顕感染)であることも多い。

  • 発疹の色素沈着

多形滲出性紅斑と結節性紅斑の鑑別疾患

  多形滲出性紅斑(target lesion) 結節性紅斑
メジャー疾患 ①    マイコプラズマ感染症②    単純ヘルペスウイルス ①    レンサ球菌感染(9%程度)②    薬剤性③    原因不明(全体の60%程度)
その他の原因 ・微生物(水痘・帯状疱疹ウイルス、アデノウイルスEBウイルスサイトメガロウイルス、肝炎ウイルス、サイトメガロウイルス、肝炎ウイルス、コクサッキーウイルス、パルボウイルス、クラミジア、梅毒)・薬剤性(NSAIDs、サルファ剤、抗痙攣薬、抗菌薬など) ・肺門リンパ節腫脹(結核クラミジア、サルコイドーシス、悪性リンパ腫)・消化器症状あり(ベーチェット、炎症性腸疾患、細菌性腸炎、膵炎)・その他(妊娠もしくは経口避妊薬、SLE、HIV、梅毒)

クリニカルパール

・手のひらに皮疹があれば手足口病か梅毒。

・パルボウイルスは2018年から15歳以上の成人に対して保険適応でIgM抗体検査が可能である。