とある総合診療医のノート

地方病院勤務総合診療医の日々の勉強・学びのアウトプット

2021-05-13から1日間の記事一覧

リウマチ膠原病疾患でのステロイドの使い方(関節リウマチとリウマチ性多発筋痛症)

関節リウマチ 症例1 脊椎圧迫骨折の既往がある65歳女性。1ヶ月前からの多関節痛を主訴に近医を受診した。左右2〜5指のDIP関節、右肘関節、左膝関節に主張、疼痛あり、血液検査でリウマトイド因子と抗CCP抗体が陽性であった。関節リウマチと診断しメト…

感染症へのステロイド治療

はじめに 感染症にステロイド?一昔前では免疫を抑えるステロイドを感染症に用いることは普通ではなかったが今となっては様々に使用されている。しかしエビデンスはそれほど確立しておらず唯一あるのは細菌性髄膜炎に対してと敗血症性ショックに対してのみで…

気管支喘息発作への初期対応まとめ これで救急対応はばっちり

はじめに 気管支喘息には大きく分けて2種類、発作期と安定期がある。それぞれにおいて治療は発作期であれば発作に応じた治療を行い普段は安定期として持続的な吸入などで治療を継続する。今回は喘息発作について初期対応をどうすべきかまとめる。 気管支喘…

アルコール離脱せん妄についてまとめ

はじめに アルコール依存者の入院はどこの医療機関でも経験するであるcommon diseaseであると言える。今回はアルコール依存患者で入院の際に特に問題となるアルコール離脱せん妄に関してまとめたいと思う。 アルコール離脱せん妄とは?分類など アルコールを…

アルコール依存者の入院対応

はじめに アルコール多飲者が入院すると多くの問題に直面する。それは栄養不良に伴う理フィーディング症候群、ウェルニッケ脳症、アルコール離脱せん妄などがある。アルコールというプロブレムが多くの健康問題を生み出してしまうため、それぞれの対応を今回…

PBCとPSCの違い 今さら聞けない常識

はじめに PBCとPSCは名前が紛らわしいので今回整理して覚えることとする。 PBC=primary biliary cirrhosis=原発性胆汁性肝硬変=原発性胆汁性胆管炎 PSC=primary sclerosing cholangitis=原発性硬化性胆管炎 PBCは慢性の肝内胆汁うっ滞をきたす疾患。肝内胆…

血便の鑑別に関して まずはこれだけ

はじめに 血便は救急外来を受診する代表的な症状である。今回はその鑑別をまとめたいと思う。 大腸癌 中高年に多く、無痛性の下血がみられたらまず疑う。下痢や便秘などの便通異常を伴うことも多い。左側結腸ではイレウス症状がでやすい。 虚血性腸炎 高血圧…

胃全摘後には胆石症を起こしやすいのはなぜか?

はじめに 胃全摘後には胆石症を起こしやすいとされている。なので胃全摘術と共に予防的胆嚢摘出を行う施設もある。今回は胃全摘後に胆石症を起こしやすくなる理由と予防的胆嚢摘出についてどのようなコンセンサスがあるのかを解説していく。 胃全摘後に胆嚢…

胃癌 手術再建方法 よく忘れる項目を解説

はじめに 消化器癌の手術ではその癌を摘出することがゴールではなく、摘出し消化管を再建することまで含まれる。今回は消化器癌の代表疾患である胃癌に関してその再建方法をまとめる。 Billroth I法 Billroth I法は、最初の胃切除術で行われた残胃と十二指腸…

しぶり腹について 知らないと恥ずかしい医学用語

はじめに しぶり腹(テネスムス)とは頻回に腹痛と便意を催すものの、排便しても少量しか出ない状態。 原因となる疾患としては潰瘍性大腸炎、アメーバ赤痢、偽膜性大腸炎、大腸ガンなど。 いずれにしても下部大腸、特に直腸に病変が及んでいる疾患で生じやす…