とある総合診療医のノート

地方病院勤務総合診療医の日々の勉強・学びのアウトプット

総合診療

風邪診療 咳症状メインの感冒症状に対するアプローチ

咳症状で受診しうる最も多い疾患は気管支炎であり、90%以上が非細菌性で5〜10%がマイコプラズマ、クラミジア、百日咳菌などと言われている。 解剖学的下気道:気管支以下 臨床学的下気道:肺以下 気管支炎で最も多いのはウイルス性の気管支炎で抗菌薬…

伝染性単核球症についてまとめてみた

はじめに 外来でよく出会うこの疾患、mononucleosis-like symptoms(伝染性単核球症の臨床像)は発熱、全身倦怠感、頸部リンパ節腫張(特に後頸部リンパ節などの全身性リンパ節)、肝脾腫などがあり、これらがあれば疑う。 ポイント ・毛布のような白苔が扁桃…

風邪診療についてまとめてみた 〜局所臓器症状不明瞭・高熱のみ型〜

はじめに ・風邪という誤審が最も起こしやすいパターンが局所臓器症状不明瞭型の特徴である。 ・命に関わる敗血症がこのパターンに含まれるため注意が必要。 ・何らかの敗血症の初期かもしれないという認識で診療にあたる。 局所臓器症状不明瞭・高熱のみ型…

風邪診療について 局所臓器症状不明瞭・高熱のみ型 後編

熱源不明の患者でチェックすべき部位とポイント 結膜 結膜炎(咽頭結膜熱など)、黄疸(胆道感染)、点状出血(感染性心内膜炎)、充血(レプトスピラなど) 両上顎の圧痛の有無 副鼻腔炎では圧痛ではなく左右左程度のことも多い 口腔・咽頭・頬粘膜・軟口蓋…

風邪診療まとめ 発熱+頭痛編

このカテゴリーで見逃してはいけないのが何といっても髄膜炎である。 発熱に加えて今までに感じたことのない頭痛を訴える場合には常に髄膜炎を考えなくてはならない。 しかしその違いは難しくどうゆう場合に髄膜炎を疑って腰椎穿刺を施行すべきかを考える。 …

SLRテスト・Laseque徴候・Kernig徴候・Mingazzini徴候について似すぎてて分からないのでまとめてみた

はじめに 下肢の身体診察でよく出てくるこの4つの検査。 調べたところサイトによってはSLRテストとLaseque徴候は同じということが書かれていたり、あるサイトでは違うと書かれていたり書く人によっても解釈が異なるように感じる。これがこれらを混同させる…

失神(syncope)の対応について

はじめに 当直をしていると救急車収容依頼で少なからず経験する失神患者。今回は失神について定義や疾患別の頻度、対応方法などについてまとめることとする。 定義 脳の全体的な血流低下による急性発症で、短時間の自然に完全回復する一過性の意識消失。 一…

咳嗽診療について最初から最後まで

咳嗽診療について初めから詳しくまとめてみた 咳嗽とは 気道内に貯留した分泌物や異物を気道外に排出するための生体防御反応である 咳嗽のメカニズム(上気道・下気道の上皮細胞に咳嗽受容体があり、気道異物や分泌物、炎症などの咳嗽刺激は受容体から迷走神…

二次性高血圧のスクリーニング まずはこれだけ

はじめに 高血圧は多くの高齢者で見られる他、動脈硬化の要因となり多くの生活習慣病への悪影響を与える。 多くは一次性で降圧薬でコントロールするものだが、中には二次性高血圧もあり、治療法など最終的には手術療法の適応となる疾患もでてくる。 二次性高…

腰背部痛患者の鑑別診断

腰痛の原因、鑑別診断 【腰痛の赤信号】 痛み:激痛、夜間に痛みが強い、鎮痛薬が効かない 年齢:18歳以下、50歳以上 持続期間:6週間以上 既往歴:悪性腫瘍、最近の細菌感染症、免疫不全 症状:発熱、悪寒戦慄、寝汗、体重減少 機転:高エネルギー外傷、高…

不明熱の検査 (網羅的 すべてやるわけではない)

はじめに 不明熱とは日常診療でも出くわす場面があるが古典的不明熱という定義がある。今回は不明熱に出くわした時にどのような検査が候補として考えるべきか上げていく。しかしこれらの検査は想定すべき疾患がある上で行うべきであり、患者背景も考慮して必…