とある総合診療医のノート

地方病院勤務総合診療医の日々の勉強・学びのアウトプット

糖尿病の目標血糖値

糖尿病患者の目標血糖値 http://www.jds.or.jp/common/fckeditor/editor/filemanager/connectors/php/transfer.php?file=/uid000025_474C323031332D30322E706466を参考に。 ・良好な血糖コントロールは長期予後を改善する。 ・細小血管症(腎症、網膜症、神…

強化インスリン療法について

はじめに ◯強化インスリン療法とは 強化インスリン療法とは頻回のインスリン注射によって血糖変動を健常者に近づける方法。健常者の生理的なインスリン分泌は基礎分泌と追加分泌からなるが、強化インスリン療法では速効型インスリンと持効型インスリンを併用…

混合型インスリン製剤の使い方

はじめに 混合型インスリン製剤とは 糖尿病患者において経口血糖降下薬を何種類か併用しても血糖コントロールが難しい場合は生理的なインスリン分泌が低下していると考えられ、インスリン療法の適応となる。本来であれば基礎分泌と追加分泌を両方補うことの…

副腎クリーゼについての知識

はじめに 副腎クリーゼとは副腎機能が低下することにより鉱質コルチコイド、糖質コルチコイドが欠乏し、ショックに至る病態である。 【症状】 嘔吐、腹痛、発熱、、倦怠感、関節痛、食欲不振、意識障害などなど…。多様かつ非特異的な症状が見られる。これら…

高Ca血症への対応 これだけ

◯高カルシウム血症の評価、疫学 ・低アルブミン血症の場合は補正を行う。Ca補正値=Ca+(4-Alb) ・補正は必須であるが誤差が出るので正確な評価のためには血ガスによってイオン化Caの測定をする。イオン化Caの基準値は1-1.4a mmol/Lであるが大体8倍をしたら…

高尿酸血症への対応

はじめに 尿酸値は検診でも検査されることも多く、一般的な血液検査の一項目である。これが高い状態が続くと痛風を発症したり、尿酸結石を起こしたり痛い疾患が待っている。しかし、痛風がない場合の高尿酸血症の治療適応は限定的であり今回はどのような際に…

高K血症への対応 これだけ

はじめに 高カリウム血症をみたらどうするか?電解質異常の中でも特に不整脈の原因となったりするK異常はしっかりとした補正が必要。高K血症では迅速な対応が必要であるのに対して低KでもCVの挿入を検討したりその初動は患者さんの生命予後を左右するだろう…

DKA/HHSの初期対応

血糖異常高値への初期対応 救急外来に来た患者の採血で血糖が異常に高かった場合(300以上)、初期対応はどうするべきか。異常高血糖をきたす病態として重要なものとしては糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)と高浸透圧高血糖症候群(HHS)がある。 ◯DKAとH…

SIADHについて まとめ

●SIADHとは SIADH(抗利尿ホルモン不適合分泌症候群)とは名前の通り抗利尿ホルモンであるバソプレシンが血漿浸透圧に対して不適切に分泌されることにより水分過剰貯留となってしまう症候群である。希釈性低ナトリウム血症を呈する。 原因は非常に多く覚えら…

低血糖発作への対応 まずはこれだけ

はじめに 内科当直をしているとかなり頻繁に遭遇する低血糖発作。多くは薬剤性の低血糖が多いが今回は低血糖発作の症状、原因、対応に関してまとめる。 低血糖患者は意識障害や痙攣患者の迅速血糖測定をして低血糖が見つかるというのは救急でよくある。血糖…

糖尿病でのインスリン開始のタイミング

インスリン療法の適応と導入について 糖尿病患者において、食事療法・運動療法をして血糖コントロールが不十分であれば経口血糖降下薬を開始し、それでも血糖がなかなか下がらない場合はインスリン導入となる。 (以下治療の一般的なフローチャート) 糖尿病…

甲状腺機能低下症に対する対応 まとめ

はじめに ホルモン異常はそれほど日常診療で出くわす場面は少ないと思われるが、その中で比較的頻度の多いものが甲状腺ホルモン異常である。今回はその中でも甲状腺機能低下症についての対応をまとめる。 ◯血液検査【甲状腺ホルモン系の解釈】 ・甲状腺ホル…

骨粗鬆症まとめ まずはこれだけ

◯骨粗鬆症の診断 骨密度測定では若年成人骨密度YAM(yong adult mean)の80%未満を骨量減少、YAMの70%未満を骨粗鬆症と定義する。また、椎体骨折や大腿骨近位部の脆弱性骨折があればYAM<80%で骨粗鬆症と診断される。 *骨密度測定では手(利き手でない方…

腰背部痛患者の鑑別診断

腰痛の原因、鑑別診断 【腰痛の赤信号】 痛み:激痛、夜間に痛みが強い、鎮痛薬が効かない 年齢:18歳以下、50歳以上 持続期間:6週間以上 既往歴:悪性腫瘍、最近の細菌感染症、免疫不全 症状:発熱、悪寒戦慄、寝汗、体重減少 機転:高エネルギー外傷、高…

不明熱の検査 (網羅的 すべてやるわけではない)

はじめに 不明熱とは日常診療でも出くわす場面があるが古典的不明熱という定義がある。今回は不明熱に出くわした時にどのような検査が候補として考えるべきか上げていく。しかしこれらの検査は想定すべき疾患がある上で行うべきであり、患者背景も考慮して必…

血液培養陽性の時、その結果は信じられるか

はじめに 現在では発熱に対して血液培養を2セット採取することは至極一般的になっている。これは感染症診療に日々尽力している医療者の成果の賜物とも言えるが、その分血液培養でのコンタミは患者だけでなく我々にも悪影響となる。今回はどんな場合はコンタ…

性感染症についてまとめ まずはこれだけ

はじめに 性感染症は性器外症状で受診する場合がある。発熱、リンパ節腫脹、咽頭炎 性交渉歴の聴取が必要な時 性交渉歴を聞く時の対応 尿道炎 梅毒検査

HIV感染症へのアプローチ

はじめに HIV感染症とはそれほど頻度多く接する機会は少ないが、ある程度の知識は持っておくべきである。HIV感染症とはヒト免疫不全ウイルスの持続感染の結果、細胞性免疫が機能不全に陥る疾患であり今回はこれについてまとめる。 疫学 世界では3800万人…

肺外結核のミカタ

はじめに 結核は全世界で年間1000万が罹患する。死亡原因のトップ10に入る。なので珍しい疾患でなくあらゆる症状に対する鑑別として考えなくてはならないものである。 疫学 ・発症する人は高齢者が多い(特に結核の既往があれば注意) ・若年者であれ…

縦隔気腫へのアプローチ

◯縦隔気腫とは 縦隔気腫とは何らかの原因により気管に小さな穴が開くことにより、本来なら空気の存在しない縦隔に空気が入り込むことを言う。自然気胸と同じように痩せ型の若年男性に多い。 原因としては胸痛発生時に胸腔内圧が上昇することが多い。気管支喘…

アニオンギャップとは 知らないでは恥ずかしい

アニオンギャップの計算とその意義 ◎アニオンギャップの式の導出 アニオンとは陰イオンのこと。ギャップとは差のこと。アニオンギャップとは陽イオンと陰イオンの差という意味で用いられる。 体内において陽イオンと陰イオンのそれぞれの合計は一緒。 陽イオ…

気管支拡張症について まずはこれだけ

CTにおける”気管支拡張”所見の見方 外から肺に取り入れた酸素を血液を介して全身に運ぶために、肺動脈と気管支は並走している。本来であれば肺動脈径と気管支径の大きさは同じようなものであるが、気管支径の方が肺動脈よりも大きくなっている場合を”気管支…

鎮咳薬は本当に意味があるのか

はじめに 咳嗽を主訴に来院する患者は数多く、その受診動機は大きく2つに別れる。一つはは咳嗽が出ていることが何らか怖い病気ではないかと心配し原因検索をメインに希望する。もう一つは咳嗽が出ていることを何とか止めてほしい(社会的背景もあり)今回は…

気管支喘息を診断するには

はじめに 喘息には特徴的な症状がたくさん存在するがそのうち、どの項目を満たせば喘息と診断できるなどの診断基準はなく、症状から総合的に判断しなければならない。今回はどのような症状の時に喘息という診断に至るか、はたまた喘息の特徴的所見についてま…

咳喘息を疑った時の対応

咳喘息と喘息(=気管支喘息)の違い ◯咳喘息とは 中枢から末梢気道まで全体的に好酸球性の気管支炎を起こす病態である。病態としては気管支喘息(つまり喘息)と同じであるが、症状としては咳がメインという点で異なる。気道が過敏になっており風邪ウィルス…

FEV1%と%FEV1の違い

はじめに 高齢者の慢性的な呼吸器症状で最も多いCOPD。外来でもよく遭遇するがCOPDの診断には呼吸機能検査を行うことが多いがよく似た言葉でFEV1%と%FEV1があり混同することがあるが今回はそれについてまとめる。 FEV1%と%FEV1の違い FEV1は先に%がつくか…

COPDについてまとめ まずはこれだけ

はじめに COPDは高齢者の息切れ、喀痰を主訴とする慢性呼吸器症状の代表的疾患となり、病期分類、重症度、また治療もある程度確立しており今回はそれらについてまとめる。 診断手順 ①COPDの患者さんの主訴の多くが労作時呼吸困難感であるため、修正MRC(mMRC…

胸部CTでの重力変化とは

胸部CTを仰臥位で撮影すると健常者であっても肺底部背側にすりガラス影がみられることがある。仰臥位においては一番低い肺底部背側の静脈圧・リンパ管圧が高まり、肺末梢間質の容積が増えてしまうことにより、肺実質が圧排されてしまうからである(つまり無…

ARDSの診断基準

はじめに ARDSは肺炎などの感染症や重症外傷などによって高サイトカイン血症が生じることで血管透過性亢進によって引き起こされる肺水腫、高度の低酸素血症である。急激に進行する呼吸困難、胸部レントゲンで両側肺野全体のびまん性浸潤を呈することが多いと…

COPDをいつ疑うか

COPDをいつ疑うか COPDとは診断ガイドラインでは次のように定義されている。 「有毒な粒子やガスの吸入によって生じた肺の炎症反応に基づく進行性の気流制限を呈する疾患である。この気流制限には様々な程度の可逆性を認め、発症と経過が官女であり、労作時…