とある総合診療医のノート

地方病院勤務総合診療医の日々の勉強・学びのアウトプット

がん緩和ケアガイドブックオピオイド導入〜副作用対策

オピオイド導入→副作用への対応 悪心への対応 はじめに ・悪心はオピオイド使用患者の30%に生じる1〜2週間以内に改善するが一旦出現するとオピオイド継続が困難となるので予防対策が必要。 評価のポイント ・悪心とオピオイド開始・増量との時間経過を…

がん緩和ケアガイドブック 鎮痛補助薬について

鎮痛補助薬の使い方 適応:オピオイドなどの鎮痛薬を増量しても無効、効果不十分なとき 使い方のポイント ・有効率は15〜30%。副作用(主に眠気)があるので鎮痛効果と副作用とのバランスが大事。 ・開始後1週間で効果を判定する。1種類の薬剤を副作…

がん緩和ケアガイドブック 放射線治療について

適応となる状態 ・がん病巣が存在することに伴う疼痛は全ての放射線治療の対象となりうる。 ・代表例は有痛性骨転移(60〜90%の症例で痛みの緩和が期待できる) ・治療効果の発言には2週間程度用することが多い。4〜8週で最大になる。 ・神経障害性…

がん緩和ケアブック神経ブロック治療について

神経ブロックについてのまとめ記事 はじめに ・がん疼痛を持つ患者の70〜90%はWHO方式がん疼痛治療法に沿った薬物療法でコントロールできると言われている。しかし鎮痛薬や鎮痛補助薬による副作用によるQOL低下が問題となる場合があり、患者の予後が長…

がん緩和ケアブック消化器症状への対応

消化器症状の対処法についてをまとめる 嘔気・嘔吐について 原因、機序まとめ 評価のポイント ・がん患者はがんに対する治療やがん自体によって症状が出ているとまず考えよう。 ・まずは原因検索。薬剤、血液検査、身体所見、腹部X線、必要なら腹部超音波、C…

がん緩和ケアブック 気持ちのつらさへの対応

はじめに ・気持ちのつらさとは精神的苦痛に関する幅広い概念。 ・不安は不確実な脅威に対する心理反応である。がん患者の具体的な不安の内容として死への恐怖、今後の生活への不安、自信・生きがいの喪失、些細な体調変化をがんの進行と捉えてしまうなどあ…

同効薬の使い分け 循環器編

はじめに 循環器領域では急性期・慢性期共に病態に応じた薬剤選択が患者の転機改善に寄与する。近年高齢化により慢性腎臓病や動脈硬化疾患が並存する患者が多くここに応じた使い分けが必要である。また内服は長期間に必要となる場合が多くアドヒアランスの問…

降圧薬の使い分けについてまとめてみた

同効薬の使い方 降圧薬について はじめに ・日本において高血圧有病者数は2010年時点で4300万人と言われている。 ・高血圧は脳卒中、心筋梗塞といった心血管疾患のリスクであることは明らか。 ・まずは運動、食事療法だがそれでも改善ない場合は内服加療…

ACOについてまとめてみた

(Asthma and COPD Overlap:ACO)とは? まずは気管支喘息とCOPDのそれぞれの病態についてまとめる。 ・気管支喘息は「気道の慢性炎症を本態とし、臨床症状として変動性をもった気道狭窄(喘鳴、呼吸困難)や咳で特徴づけられる疾患」 ・COPDは「タバコ煙を…

気管支拡張薬の使い分け

はじめに ・気管支拡張薬はβ2刺激薬、抗コリン薬、キサンチン誘導体の3系統 ・気管支喘息やCOPDに対して気管支を拡張する目的に使用される ・効果と副作用の観点から内服よりも吸入薬が推奨されており適切な吸入器デバイスを選択すべし β2刺激薬 ・β2刺…

ステロイドの副作用・予防

はじめに ステロイドは非常に多種多様な副作用があり、副作用は必発といっても過言ではない。そこでステロイド投与中の患者には副作用を予防する治療が必要となってくる。そこで副作用の出現時期などを理解することは必要不可欠である。 副作用の出現時期 開…

呼吸器 同効薬の使い分け 総論

ポイント ・鎮咳薬と喀痰調整薬は対症療法であり、咳嗽と喀痰に対する治療の大前提は症状の背景にある疾患に対する治療である ・喀痰は機動分泌が亢進している病態の存在を示唆するため湿性咳嗽の対症療法は喀痰調整薬であり、原則として鎮咳薬を投与しない…

吸入ステロイド これだけは知っておきたい知識

はじめに ・吸入ステロイド薬は気管支喘息やACO患者では治療の基本となる薬剤である。ICSをどう使い分けるか、どの吸入器具を選択するかも大事である。そのため治療奏功を期待するにはアドヒアランスの問題をクリアすることが必要条件となる。つまり喘息治療…

鎮咳薬・喀痰調整薬の使い分け

鎮咳薬・喀痰調整薬とは? あくまで症状改善薬であり病気自体の治療薬ではない。 例えば、細菌性肺炎などにより膿性痰があれば抗菌薬で治療すべきだし、気管支喘息やCOPDであれば慢性呼吸器疾患として特異的な治療を行うべきである。鎮咳薬・喀痰調整はその…

胃粘膜保護薬についてはこれだけ PPI、P-CAB、H2ブロッカーなどのまとめ

はじめに ・胃粘膜保護薬の開発は消化性潰瘍の治療とともに進んできた。消化性潰瘍治療の歴史の中で最初に大きなブレイクスルーがあったのはH2受容体拮抗薬(histamine H2-receptor antagonist:H2RA)の開発であった。これにより消化性潰瘍の外科手術の頻度…

整腸薬と止痢薬の使い分け

整腸薬 整腸薬は生菌製剤と耐性乳酸菌製剤の2種類がある。これら製剤の添付文書における効能・効果は生菌製剤は「腸内細菌叢の異常による諸症状の改善」、耐性乳酸菌製剤は「抗生物質、化学療法剤投与時の腸内細菌叢の異常による諸症状の改善」とされている…

ステロイド治療の基本 まずはここから

はじめに ステロイドは臨床において最も使用される薬剤の一つであり、その重要性は輸液・抗菌薬選択に次ぐと筆者は考えている。そこでこんかいはステロイド治療における基本事項をまとめる。 ステロイドは大きく分けて3つの役割を有しており、それは抗炎症…

内分泌疾患でのステロイドの使い方

甲状腺クリーゼ 症例1 30歳女性。上腹部痛・下痢・発熱を主訴に来院。意識障害なし。甲状腺はびまん性に腫大し頻脈140(不整)・振戦も認めた。血液検査ではTSH<0.01,Free T4>7.77,Free T3 27.5,TSH受容体抗体陽性であり、バセドウ病による甲状腺クリ…

骨粗鬆症の治療薬まとめ

はじめに 日本は超高齢化社会であり、高齢化に伴い骨粗鬆症患者は増加の一途をたどっている。現在骨粗鬆症と言われる人は約1300万人と推計されている。骨粗鬆症の問題は脆弱性骨折が増加し、椎体骨折や大腿骨頸部骨折などからQOLの低下、寝たきり、ひいては…

外来風邪診療 診察から処方・帰宅まで まずはここから

医学生時代、多くの医学知識を詰め込み、様々な疾患・治療法を授業の中で学んできたが、いわゆる風邪(上気道炎)だけの授業というものが驚くべきことに、ほぼないのが医学教育の現状である。 世間一般の方からすれば驚くことかもしれない。ただこれが現実で…

風邪診療 咳症状メインの感冒症状に対するアプローチ

咳症状で受診しうる最も多い疾患は気管支炎であり、90%以上が非細菌性で5〜10%がマイコプラズマ、クラミジア、百日咳菌などと言われている。 解剖学的下気道:気管支以下 臨床学的下気道:肺以下 気管支炎で最も多いのはウイルス性の気管支炎で抗菌薬…

伝染性単核球症についてまとめてみた

はじめに 外来でよく出会うこの疾患、mononucleosis-like symptoms(伝染性単核球症の臨床像)は発熱、全身倦怠感、頸部リンパ節腫張(特に後頸部リンパ節などの全身性リンパ節)、肝脾腫などがあり、これらがあれば疑う。 ポイント ・毛布のような白苔が扁桃…

感冒症状(風邪・上気道感染)に対する処方まとめ

いわゆる風邪という疾患は発熱、頭痛、咽頭痛、咳嗽、鼻水など多岐にわたる症状が同時に同程度起こるとされている。しかしただの風邪に抗菌薬処方は有効ではなく、作用に比べて副作用のリスクの方が高いという認識が必要と考えられる。 一方で風邪に対しては…

風邪診療についてまとめてみた 〜局所臓器症状不明瞭・高熱のみ型〜

はじめに ・風邪という誤審が最も起こしやすいパターンが局所臓器症状不明瞭型の特徴である。 ・命に関わる敗血症がこのパターンに含まれるため注意が必要。 ・何らかの敗血症の初期かもしれないという認識で診療にあたる。 局所臓器症状不明瞭・高熱のみ型…

風邪診療について 局所臓器症状不明瞭・高熱のみ型 後編

熱源不明の患者でチェックすべき部位とポイント 結膜 結膜炎(咽頭結膜熱など)、黄疸(胆道感染)、点状出血(感染性心内膜炎)、充血(レプトスピラなど) 両上顎の圧痛の有無 副鼻腔炎では圧痛ではなく左右左程度のことも多い 口腔・咽頭・頬粘膜・軟口蓋…

風邪診療まとめ 微熱+倦怠感編

風邪のような感染症は数多くあります。 今回はその中でも微熱+倦怠感をきたす疾患にフォーカスを絞ってまとめます。 微熱+倦怠感とは感冒症状があるにも関わらず咳嗽、鼻水、咽頭痛などがなく症状のメインが倦怠感である状態。 倦怠感という訴えは医師とし…

風邪診療まとめ 発熱+頭痛編

このカテゴリーで見逃してはいけないのが何といっても髄膜炎である。 発熱に加えて今までに感じたことのない頭痛を訴える場合には常に髄膜炎を考えなくてはならない。 しかしその違いは難しくどうゆう場合に髄膜炎を疑って腰椎穿刺を施行すべきかを考える。 …

BCG(Bacillus Calmette-Guerin)接種についてまとめてみた

小児科で必ず実施されるBCGについて おおよそ多くの予防接種はシリンジに針をつけてワクチンを皮下注射するだけであるがBCGは言わずもがなハンコ注射とも呼ばれる特殊な接種方法である。今回はそれについてまとめる。 適応 結核予防のため予防接種法に基づき…

不機嫌:not doing well(なんとなく元気がない)場合 小児科診療

Must rule out 尿路感染症 細菌性髄膜炎 腸重積 頭蓋内出血、骨折 心不全、呼吸不全 ターニケット症候群 血液疾患、代謝疾患 よくある頻度の高い状態・病気 中耳炎 便秘症 皮膚炎などのかゆみを生じるもの Infantile colic 原因不明の非特異的な不機嫌 注意…

小児科診療 発熱編

発熱初日〜2日は風邪と言わざるを得ない! 37〜38度台の発熱で外来受診した場合には、一番の鑑別に上がるのはやはり風邪症候群である。 この場合は風邪らしさを聴取する。 聴取内容 ・いつからの発熱か? ・ご飯、水分は取れているか?(水分取れていない、…